2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Critical Re-consideration on Liberal Nationalism: From a Viewpoint of Global Democracy and Justice
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15K16979
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
白川 俊介 関西学院大学, 総合政策学部, 講師 (50737690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リベラル・ナショナリズム / グローバル正義 / グローバルな貧困 / 人の移動 / 頭脳流出 / ナショナリティ / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画(b)リベラル・ナショナリズム論から理論整合的に導かれるグローバル正義の理論の解明にかかわる研究について主として従事し、(1)「政府は『退出の権利』を制限できるか──『頭脳流出』とグローバルな正義」(2)「退出の権利」に対する制約の正当化に関する一考察──「移住のグローバル正義論」の構築に向けて──、および(3)“Global Justice and Nationality: Reinterpretation of Liberal Nationalist’s Approach” というタイトルで研究報告を行った。(1)および(2)はグローバル正義と人の移動にまつわる問題について頭脳流出をてがかりに考察したものであり、(3)はグローバル正義の動機づけの問題について理論的に分析したものである。 また、研究実施計画(a)リベラル・ナショナリズム論とグローバルな民主主義との両立可能性についての研究とのかかわりでは、昨今のポピュリズムの議論について思想的な文脈から分析した講演「民主主義の危機?」を行った。
研究機関全体を通じて、ナショナリティという個別的な概念と、グローバル民主主義やグローバル正義というある種の普遍性を志向する概念をどのように調和させるかということを規範的に検討してきた。ナショナリティという個別的なものに依拠しても、無理なく普遍的な概念とそれを接合することは可能であるということを一定程度は論じることができたのではないかと考えるが、研究開始当初の見込みとは異なり、まだ十分に論じることができていない部分もまだ残されているため、その点は今後の研究においてさらに深めていきたい。
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