2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Shrinking Public Sector: Qualitative Comparative Analysis of Policy Termination
Project/Area Number |
15K16981
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
柳 至 琉球大学, 法文学部, 准教授 (20647341)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 政策廃止 / 土地開発公社 / 自治体病院 / ダム事業 / 不利益の分配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政策や組織の廃止がどのような場合に行われるかを明らかにすることにあった。日本は、中央政府と地方政府であわせて一千兆円を超える長期債務を抱えるとともに、今後は人口減少・少子高齢化により歳入が漸減していくことが予想される。厳しい財政状況を背景として、政策廃止が徐々に起き始めているが、廃止がどのような場合に行われているかについては十分に明らかにされていなかった。 本研究では、地方自治体において政策廃止がどのような場合に行われているかを、質的比較分析により包括的に明らかにした。具体的には、廃止がどのようにして議題に上がり、決定されるかを明らかにするために、日本の都道府県におけるダム事業、自治体病院、土地開発公社を対象として、全都道府県に対するアンケート調査をもとにした質的比較分析を行った。ダム事業、自治体病院、土地開発公社の廃止に際しては、首長や議会が廃止に対して異なる態度をとる。様々なアクター間関係における政策廃止を分析するために、住民にとってその廃止が不利益とならない政策も含めた3つの対象を選択した。 分析の結果、政策廃止の前決定過程では政治状況や政策の性質が影響し、廃止の決定過程では科学的な政策知識に裏付けられた政策の必要性の有無を示す主張を提示することができるかが影響することが明らかとなった。廃止がしやすい政治状況や政策の性質であるほど、廃止案が議題に上がりやすい。例えば、自治体病院は住民が廃止に否定的であるため、土地開発公社やダム事業と比べると、廃止が議題に上がりにくい政策であった。そして、決定過程では、前決定過程における要因に加えて、政策の必要性の有無を示す主張を提示することができるかが帰結を左右していた。こうして本研究では、先行研究で明らかとなっていなかった前決定過程を含めて政策廃止の過程を包括的に明らかにした。
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Research Products
(1 results)