2016 Fiscal Year Research-status Report
治安部門ガバナンスにおける市民社会の役割に関する研究:フィリピンの事例を中心に
Project/Area Number |
15K16983
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山根 健至 福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (10522188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 治安部門ガバナンス / フィリピン / 市民社会組織 / 政軍関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第1に、治安部門ガバナンスにおける市民社会組織の参加の可能性、効果、課題を明らかにすること、第2に、市民社会組織の参加といった観点から治安部門ガバナンス研究における理論的示唆を検討すること、第3に、平和構築の推進や人間の安全保障の擁護にとってより良い治安部門ガバナンスのあり方を検討することである。 本年度は、フィリピンにおいて治安部門ガバナンスに市民社会組織が参画している取り組みが実施される背景要因の変化の影響、将来の展望、および治安部門ガバナンス研究への理論的示唆についての研究を、フィリピンのマニラ首都圏での資料収集や、これまで収集した資料の分析、関連する先行研究の検討などによって実施した。 これまでの研究で、こうした取り組みが実施されてきた背景には2010年から2016年までのアキノ3世政権の姿勢が大きく関係していたことが明らかになっているが、2016年7月の政権交代によりこのような背景的要因の変化が治安部門ガバナンスにおける市民社会組織の参画にどのような影響を与えたのかの調査・検討を進めた。具体的には、2016年7月に発足したドゥテルテ政権の治安部門ガバナンスへの姿勢、新政権下での治安部門の市民社会組織への態度、市民社会組織の対応などに焦点を当て研究を遂行した。 また、これまでの研究成果の一部を、「フィリピンにおけるカウンター・インサージェンシーと非国家主体の役割」と題して、日本国際政治学会2016年度研究大会において報告するとともに、共著の研究書に論文「フィリピン・ミンダナオ紛争と再編される安全保障の協働関係」を寄稿した(2017年刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集、資料の分析、成果の発表など、おおむね順調に進展しているが、一身上の都合により、現地調査の日程が当初の計画よりも若干短くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、現地調査を中心とした資料収集や資料の分析を実施するとともに、研究成果の公表に努める。最終年度であるため、年度の後半は成果の取りまとめに力を入れる。
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Causes of Carryover |
訪問先との日程調整がつかなかったこと、治安状況の悪化、一身上の都合などにより、フィリピンでの現地調査の期間が当初の計画よりも短縮されたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査日程の短縮のため実施できなかった調査を次年度に繰り越して実施するために使用する。
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