2017 Fiscal Year Research-status Report
治安部門ガバナンスにおける市民社会の役割に関する研究:フィリピンの事例を中心に
Project/Area Number |
15K16983
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山根 健至 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (10522188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フィリピン / 治安部門改革 / 市民社会組織 / 安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、これまでにフィリピンのマニラ首都圏やラナオ・デル・ノルテ州のイリガン市などで収集した、市民社会組織による治安部門ガヴァナンスへの参加に関わる資料やデータの整理と分析を実施した。これに加えて、周辺地域で治安の悪化が生じた際に、市民社会組織の現地ネットワークがそれにどのように対応したのか、対応のなかで国軍や国家警察などとどのような連携をしたのかについて情報の整理をした。 また、フィリピン・ミンダナオ島の紛争影響地域において観察できるセキュリティ・ガヴァナンスの状況に焦点を当て、どのような主体がセキュリティ・ガヴァナンスの形成に関与し、それがどのように変容してきたのかを検討した。なかでも国軍と地元の有力者との治安上の連携や、国軍と武装勢力との連携に焦点を当てて分析した。多様な主体が安全保障に役割を担うセキュリティ・ガヴァナンスについての分析は、本研究のテーマである治安部門改革への市民社会組織の参加と密接に関係していることから、研究の遂行において欠かせないものである。 そしてこの成果を、「フィリピンの紛争と再編される安全保障の協働関係」としてまとめ、足立研幾編著『セキュリティ・ガヴァナンス論の脱西欧化と再構築』(ミネルヴァ書房、pp. 177-203、2018年)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間を通してはおおむね順調に進展しているが、昨年度に調査地周辺において武力衝突が発生し治安が悪化したことから調査を自粛したため、昨年度に関しては調査に若干の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度に実施できなかった調査を実施し、この調査で収集した情報や資料を踏まえて研究の取りまとめを行う。そして成果を論文や学会報告において公表する準備を進める。
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Causes of Carryover |
調査地の周辺で武装勢力と政府軍との武力衝突が発生したことにともなって治安が悪化したため調査を自粛したこと、および一身上の都合が調査に影響したことから旅費の支出が当初計画よりも少なくなった。これにより、次年度使用額が生じた。この未使用額は、次年度に調査費用として使用する予定である。
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