2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Political History of the first half of the Portuguese "New State": From the Constitutional Authoritarianism to the Dictatorship.
Project/Area Number |
15K16986
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 准教授 (40508363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポルトガル政治史 / サラザール体制 / 権威主義体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は8月から9月にかけて、約2週間にわたりポルトガルでの史料調査を行い、引き続きサラザール体制下での大統領選挙に関する一次史料の渉猟を行った。研究期間全体を通じて計5度にわたる史料調査を実施したが、当該史料の初めての利用者が研究代表者であるという例も少なくなかった。本研究が日本はもちろんのこと、(ポルトガル本国も含め)世界的にも先駆的な調査に基づいたものといえよう。 また最終年度は、3年間にわたる研究の総括として、実証的な政治史論文を執筆・公刊することができた(詳細は後述)。2016年度に発表した論文は、本研究課題(サラザール体制前半期の政治史)の分析に関する、比較政治学的・理論的色彩の強いものであったが、最終年度に発表した論文は、本研究の主軸である一次史料の渉猟の成果を存分に生かしたものである。当初の研究計画では、論文執筆は1本のみを予定していたが、性格の異なる2本の論文を発表できた。 上記の通り、成果の公表(論文・学会報告)という観点からすると、研究計画は概ね順調に達成できたと考えているが、研究計画に記載したもののうち、十分に解明できなかった部分もある。本研究の成果はサラザール体制下での大統領選挙の動態を解明したことであるが、軍とサラザール体制の関係や、体制初期におけるファシズム勢力の動向などは、(二次文献での研究は進めたものの)一次史料にまで遡って跡付けることはできなかったため、今後の課題としたい。
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