2016 Fiscal Year Research-status Report
戦前の民間組織による対外的情報発信とその影響:英語版『東洋経済新報』を例として
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15K16987
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴村 裕輔 法政大学, 国際日本学研究所, 研究員 (90579179)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英語版『東洋経済新報』 / The Oriental Economist / 石橋湛山 / 東洋経済新報社 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究実績の概要】 本課題の第2年目となる平成28年度は、1. 研究の基礎となる1934-1945年の英語版『東洋経済新報』(The Oriental Economist: TOE)の記事の収集と分析、2. TOEの記事の内容をより適切に理解するための、1934-1945年の日本を取り巻いた状況の検討、3. 研究結果の発表、の3点を中心に研究を進めた。 【研究の具体的成果】 1. については、TOE本誌及び関連資料の収集を行うとともに、発行元である株式会社東洋経済新報社の協力を得て未公開資料の確認を行うことができた。また、2. に関しては、2016年8月、2017年2月、2017年3月の3回にわたり、各分野の専門家を講師に招く研究会(大正期から昭和初期における新興宗教の活動:徐玄九氏、戦前の日本における広報外交:上品和馬氏、戦後の日本におけるPRの導入と展開:河炅珍氏)を開催した。さらに、3. については、平成28年度中に国際学会での口頭発表3件、研究会での口頭発表1件を行うとともに、論文3報が掲載された。 【研究の意義】 平成28年度に実施した研究の意義としては、1. TOEの記事そのもののとともに、TOEが創刊された1934年前後の日本の状況を社会、経済、政治、外交、文化などの観点から研究することで、TOEの持つ意味を相対的に検討する、2. 3回にわたって実施した研究会に研究者以外の一般市民が参加し(合計参加者数27名中9名)、社会に開放された研究活動を実施することができた、3. 2016年8月刊行の雑誌『自由思想』第142号に研究代表者が行う石橋湛山研究が紹介された、という3点が挙げられる。 【研究の重要性】 TOEを体系的に研究する試みは近年になって緒に就いたばかりである。そのため、本研究は学界で未利用の資料等の活用も含め、TOE研究を本格化させるために不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究の概要】 本課題の第2年目となる平成28年度は、1. 研究の基礎となる1934-1945年の英語版『東洋経済新報』(The Oriental Economist: TOE)の記事の収集と分析、2. TOEの記事の内容をより適切に理解するための、1934-1945年の日本を取り巻いた状況の検討、3. 研究結果の発表、の3点を中心に研究を進めた。 【研究の成果】 研究の結果、1. TOEの記事そのものとともに、TOEが創刊された1934年前後の日本の状況を社会、経済、政治、外交、文化などの観点から研究することで、TOEの持つ意味を相対的に検討した論文が出版された、2. 2016年8月刊行の雑誌『自由思想』第142号に研究代表者が行う石橋湛山研究が紹介されたこと、は、本課題を計画した当初の想定を上回る成果となった。 また、当初から計画していた研究会の開催については、予定通り3回にわたり実施することができた。なお、3回の合計の参加者27名のうち、研究者以外の一般市民が合計9名参加し、広く社会に開放された研究会を行うことができた。 【研究成果の公表】 研究成果の公表については、国際学会での口頭発表3件、研究会での口頭発表1件を行うとともに、論文3報が掲載、2報が投稿された。投稿論文については平成29年度中に刊行される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究の概要】 本課題の最終年度(第3年目)となる平成29年度は、第1年目、第2年目に引き続き、1. 研究の基礎となる1934-1945年の英語版『東洋経済新報』(The Oriental Economist: TOE)の具体的な記事の分析と日本語版『東洋経済新報』との比較、2. TOEの記事の内容をより適切に理解するための、1934-1945年の日本を取り巻いた状況の検討、3. 研究結果の発表、の3点を中心に研究を進めるとともに、3年間の研究成果を総括するための国際シンポジウムを開催する予定である。 【研究の方法】 研究の方法は、1. TOEの記事の分析については、収集したTOE本誌の資料及び関連する資料を活用し、さらに日本語版『東洋経済新報』の記事を対照し、検討を進め、2. TOEの記事をより適切に理解するため、平成29年度中に3回の研究会を開催し、1934-1945年当時の日本の状況を政治、経済、外交、文化などの各分野の専門家の知見に学ぶ、3. 学会での口頭発表や学術誌への論文の投稿などを通じ、研究成果の公開を進めるとともに、研究会を一般公開することで社会に開かれた研究を実施する、の3点である。 【不測の問題への対応】 当初の研究計画で想定していない事態が発生した場合は、各分野の専門家の指導、助言を適宜仰ぐことで問題を解決するよう努める。
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Causes of Carryover |
2016年10月に参加予定であった国際学会について、主催者側の資金上の都合により実施日が2017年6月以降に延期されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、平成29年度に実施が予定されている上記国際学会への参加に係る費用に充当する。
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