2015 Fiscal Year Research-status Report
議会不信は制度か文化か―公共的討議による克服の可能性―
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15K16992
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木下 健 同志社大学, 研究開発推進機構, 助手 (30735296)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 議会不信 / 議会信頼 / 合意 / 討議 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実績として、討議により合意の可能性を見出した点、及び制度的要因及び文化的要因の双方が議会の信頼に影響を与えていることを確認した点である。本研究の目的は、国会に向けられる不信の原因を探求し、信頼を取り戻すためにいかなる審議、活動が有権者の信頼獲得に影響を与えているのかを明らかにすることである。 研究実施計画に照らし、平成27年度は、国レベルでの議会の不信構造を明らかにすることであった。小選挙区を重視する選挙制度は、政治的有効性感覚の低下より、議会の不信につながると予想していた。予想通り、議会の政党数が多い方が議会への信頼に繋がることを確認した。また、文化的要因として、解放に向けた価値観(emancipative values(Welzel 2013))が、議会への信頼に繋がることを予想したが、予想と反し、議会への信頼を引き下げることが明らかとなった。これは個人主義が進んだ結果の価値観であると考えられる。 次に、合意への可能性を見出すために、話し合い、討議によって、相手の意見の尊重、意見の不一致、妥協という態度が変わるのかを検証した。その結果、対立する意見の方に理屈があると認識すれば、相手の意見の尊重が促されることが明らかとなった。また、リベラリズム及びコスモポリタニズムという価値観は、政策態度の決定に影響を与えているものの、討議前よりも影響力が低下することが明らかとなった。このことから、討議による合意の可能性があることが示唆されたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況は、やや遅れている。実証分析を行うに当たって、データの収集に時間がかかったためである。いかなる審議が議会の信頼に貢献するかについて、膨大な国会審議のデータを扱うため、それを分類し、データセットとして分析するまでに、予想よりも時間を費やしていることが影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては、データ分析を速やかに行い、執筆し、結果をまとめることに集中することを予定している。インターネットでの議会信頼の要因と、大学生の議会信頼のデータを分析することで、研究は大きく前進すると考えられる。既に、大半のデータ収集、及び文献の収集を終えているため、平成28年度は、分析を中心として進めることを考えている。また、残りのデータ収集については、コード化作業が含まれており、周囲の研究者や補助者の協力を得ながら進めていきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として6円生じているが、これは物品等を購入した際の端数であり、研究計画への問題は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として6円生じているが、これは物品等を購入した際の端数であり、研究計画への問題は生じていない。そのため、次年度(2016年度)は、計画通りに使用する予定である。
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