2016 Fiscal Year Annual Research Report
Are Parliamentary Trust based on Political System or Culture?: Overcoming Distrust by Public Deliberation
Project/Area Number |
15K16992
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 健 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (30735296)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国会 / 信頼 / 不信 / 議会 / 政治文化 / 討議 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実績として、議会の信頼について、国レベル及び個人レベルの信頼の規定要因についての研究を行った。国レベルにおける研究として、制度的要因と文化的要因のどちらが信頼に影響を与えているのかを検証した。制度的要因として、、二院制であるか否か、大統領制、半大統領制あるいは議院内閣制であるか、単一制国家であるか連邦制国家であるか、選挙制度に関しては様々な種類があるため有効議会政党数を用いた。文化的要因として、解放に向けた価値観(Emancipative Value)と社会関係資本を用いた。分析の結果、議会が信頼を高めるための制度的な改革を行うには、比例代表制の選挙制度にして有効議会政党数を増やし、半大統領制が好ましいといえる。ただし、半大統領制である国は、パキスタン、レバノン、エストニアであるため、半大統領制であるから、議会への信頼を高めるといえるのかどうかは、更なる検証が必要であると考えられる。他方で文化的要因から考慮すると、解放に向けた価値観は議会への信頼を引き下げるといえる。他者信頼が議会への信頼を引き上げるため、社会関係資本の構築が好ましいといえる。ただし、善教(2013)が指摘するように、参加に基づく市民文化をユートピアとして描くことにどれほどの説得力があるかは、批判的に検討する必要があるといえる。 こうした国レベルの分析に加えて、個人レベルの信頼についての検討を行っている。平成28年度において、研究計画に照らし、実験室実験によるデータを収集しており、現在は、その分析を行っている。国会の討議に着目し、野党が対案を提出した場合に政府与党案と一括審議される場合の効果を明らかにする。現時点では、野党が政府に対する質疑と野党が野党議員提出者に対する質疑の性質が異なっているといえる結果が得られており、討議により有権者に異なる影響をもたらすと考えられる。
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