2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Basic Study of English Magazine in Wartime of Japan
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15K16993
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
望月 詩史 同志社大学, 法学部, 准教授 (80648048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 石橋湛山 / 東洋経済新報社 / The Oriental Economist |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続いて今後のThe Oriental Economist(OE誌)研究に資すると考えられる資料を作成した。それが1938年1月から12月までに『東洋経済新報』に掲載されたOE誌最新号広告一覧である。これは「The Oriental Economist 研究序説―創刊初期を中心に―」(『同志社法学』392号、2018年7月)に巻末資料として掲載した「資料二 OE誌最新号広告一覧(一九三四―一九三七年)」の続編である。この年の広告の特徴として第一に通常の最新号広告や一般案内に加えて、2月19日号より「出版だより」欄が新設されたことが挙げられる。同欄では度々海外の反響が詳しく取り上げられていることからも、同資料では「出版だより」に掲載されたOE誌に関する記事も一覧に収録した。なおOE誌関連の記事が登場するのは『新報』1938年2月26日号である。これ以降、6月25日号までに計5回「出版だより」欄にOE誌関連の記事が掲載された。第二に石橋湛山及び東洋経済新報社が外国の日本研究者とつながりが明らかとなることである。例えばOE誌1938年6月号の広告が掲載された『新報』1938年6月25日号には、G・C・アレンから寄せられた手紙に触れて、そしてOE誌が国際平和に大いに貢献している旨の一節を引用している。また同号「出版だより」にはOE誌の主張は自身の見解と一致する点が多い旨の内容を記したE・シュムペーターから送られた手紙の一部も紹介された。OE誌は日本及び世界の政治経済社会情勢を客観的に分析する、つまり特定の立場に偏らないことを信条としていることから、誌面を通して東洋経済新報社のスタッフの英文雑誌に対する使命観や自信などを窺い知ることは難しい。それだけに同広告はスタッフがOE誌の意義をどのように認識し、またどういった覚悟を抱いて編集していたのかを知ることができる貴重な資料である。
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