2017 Fiscal Year Research-status Report
候補者の民族背景が投票行動に影響を及ぼす政治的条件の解明
Project/Area Number |
15K16994
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 剛 立命館大学, 法学部, 准教授 (80737437)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | データ分析 / 学会発表 / 論文修正 / 実験計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、選挙において候補者の民族背景が有権者の投票行動にどのような影響を及ぼすのか、とりわけそうした効果は候補者の所属政党や選挙制度によってどのように・どの程度変化するのかを、日本でウェブ上のサーベイ実験を用いて解明しようとするものである。 平成29年度は、平成27年度末に行った実験調査を分析し、カナダ政治学会にてその成果を発表した。発表では、カナダにて同じテーマを研究している討議者より大変有益な批判的質問とアドバイスを貰うことで、論文をより比較政治学的な視点から書きなおした。具体的には、候補者の民族背景による得票減の効果は、いわゆる右派政党から出馬したときのほうが大きいはずだが、日本では左派政党(旧民進党、共産党)での効果が比較的大きかったのは何故かについて、理論的説明と実証を求められた。このため、同年度の夏から秋にかけてデータを再分析し、政党の大きさと効果の関係の分析部分を論文から切り離して前述の分析に特化するなどした。その結果の詳細をここに示すことはできないが、左派政党の支持者が、政治的左右とあまり結びつかない政策次元において候補者背景から政策選好を類推するため、左派政党であっても得票減につながる可能性が示された。このメカニズムの検証作業は現在も継続中で、第2回目の追試実験にも引き継ぐ予定である。 また、平成29年度には学会発表での示唆をもとに2回目の追試実験を計画していたが、1) 学会発表での助言により、実験内容に改善の余地があることと、2) 2017年10月の総選挙前後に旧民進党が分裂し、1回目と同様の実験を行えなくなったことにより、無理に年度内には行わず、時間をかけて適切な形に設計し直した実験を平成30年度に実施することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学会発表で指摘された内容・助言の反映と、日本の政治状況(政党情勢)の変化により、平成29年度中に行う予定だった追試実験を延期することにしたため遅れが生じている。また、平成29年度10月から2月までは、本務校での教育・学内行政の業務がやむなく急増したため、研究に割く時間はほとんどなかった。政治状況の変化を除けば、研究計画に問題は生じてないため、平成30年度こそ研究時間を確保できるよう努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、学会発表論文の書き直しと、それとは別の論文の執筆、2回目の追試実験のデザイン見直し(質問項目の絞り込み、対象政党)を行っている。書き直した論文は、春学期期間中に完成、学術雑誌に投稿し、別論文は秋学期期間中に第一稿を完成させ、追試実験は秋を目途に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度中に2回目の追試実験を行わなかったため。研究計画書にあるとおり、すべての金額を同実験調査に使用予定。
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Research Products
(1 results)