2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Activities of JSDF in Post-modern Warfare
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15K17001
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本多 倫彬 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (30750103)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平和構築 / 平和活動 / 国際平和協力 / PKO / 自衛隊 / 民軍関係 / イラク派遣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、様々なアクターが関与して平和構築に取り組む国際的な平和活動のなかで、日本の国際平和協力活動が25年に渡る歴史の中で何を担い、またどのような取り組みを行ってきたのか、その要因を含めて考察を行った。 日本がこれまで果たしてきた役割は、軍隊主導で治安の安定化を行う段階から、開発援助や民間投資が開始される復興段階の移行期に展開し、両者をつなげようとするものであった。またそこにこそ、軍隊による平和活動としての日本の国際平和協力の特性があった。 同時にそれは、担い手である陸上自衛隊施設科隊員が、日本国内での民生協力の経験をもとに、軍人よりもエンジニアの目線で現場を把握し、復興を目標に活動を積み上げてきたことによる。国際平和協力をめぐる議論で主軸をなしてきた駆け付け警護等の必要性の陰で、施設科は、自らの持つエンジニアの知見に基づいて復興支援活動を積み上げてきた。それは、活動期間の限定される自らの取り組みを、長期の復興に繋げることを希求する動機に基づき、カンボジア・東ティモールで形成された教訓に始まっていた。本研究では、それが国連PKO派遣ではない形で行われたイラク復興支援活動を通じて変質し、国際平和協力を中心に他の援助を組み込む形に転換してきたことも明らかにした。 以上を踏まえて、日本の国際平和協力の実相を考える際には、派遣された部隊が現場で希求した復興支援の動機に基づく積極的選択の結果としてみる視点が必要であることを提示した。また、そうした観点からみた時に、イラク派遣以降に進められる国際平和協力は、自らの取り組みを中心に考えるがゆえに困難に直面していることを示し、過去の活動を再検証し、再構成する必要性があることを提示した。 研究成果は、書籍『平和構築の模索:「自衛隊PKO派遣」の挑戦と帰結』(内外出版、2017年)のほか、学会報告などの形で公開してきた。
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Research Products
(6 results)