2016 Fiscal Year Research-status Report
東アジア通貨危機後の地域経済統合:国内改革と地域協力
Project/Area Number |
15K17008
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
舒 旻 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20534986)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 地域主義 / 国際政治経済論 / 開発主義国家 / 東アジア金融危機 / 自由貿易協定 / チェンマイ・イニシアティブ / 北東アジア / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアにおける地域経済統合は、1997~98年に起きた東アジア金融危機の後、貿易自由化や金融・通貨の協力、地域協力機構の設立などの面において大きな進展を遂げてきた。一方、東アジア諸国は、金融危機の発生をきっかけに様々な政治・経済改革を実施し、それに伴って開発主義国家を特徴とした国内政治経済体制が大きく変容してきた。本研究は、北東・東南アジア六ヶ国の国内改革と地域協力の相互関係に焦点を絞り、国際政治経済論の視点から金融危機後の東アジア地域協力の国内基盤を解明し、それを通じて理論面と実証面から東アジア地域統合論の構築に貢献することを目的とする。
2016年度は、本研究を主としたプロジェクトがハーバード大学に選ばれ、ハーバード・エンチン研究所の研究員として研究を行った。具体的には、ハーバード大学エンチン図書館、ハーバード大学ワイドナー記念図書館に所蔵されている東アジア地域に関する資料を収集し、東アジアの地域協力の国内基盤を分析した。また、ハーバード大学における東アジア研究を専門とする教員数名と面会し、本研究テーマに関する意見を交換した上、研究成果を発表した。
本年度の成果としては、まず、2016年12月と2017年度2月にハーバード大学で本研究に関する二回の公開講演を行った。次に、2017年1月にボストンに開催されたニューイングランド・アジア研究学会(New England Region Association of Asian Studies)の年会で研究成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2つの理由から、本研究は順調に進展していると言える。 まず、本年度はハーバード大学において本プロジェクトの活動を展開することができた。ハーバード大学では、本研究プロジェクトの実施に必要な資料は多く所蔵されており、東アジア研究も盛んに行われているため、東アジア六ヵ国の国内改革に関する具体的な資料を収集し、同時にハーバード大学の東アジア研究の教員と意見交換を行うことができた。 次に、金融危機後の東アジア地域の地域協力に関する講演会をハーバード大学で開催し、同講演会に参加したハーバード大学の教員や研究者の多くから本研究プロジェクトの内容に関する貴重な意見を得られた。これらの意見に基づいて研究内容を修正し、学術論文の執筆活動を開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究は、おおむね以下2つの面において推進する予定である。 まず、東南アジアでフィールドワークを実施し、タイ・マレーシアとインドネシアの国内改革と地域協力との相互関係に関する実証研究を行うことである。 次に、東アジア地域における国内政治経済改革と地域協力との相互関係に関する学術論文の執筆を完成させ、国内と国際学会で報告を行うことである。
|
Causes of Carryover |
本年度は、ハーバード・エンチン研究所の研究員としてハーバード大学で研究活動を展開することができた。アメリカを中心とした海外の研究者との意見交換や研究資料の収集といった面からみて、ハーバード大学での研究滞在は、本研究プロジェクトの実施にとってきわめて貴重な機会であるといえる。したがって、本年度は、フィールドワークの実施計画を延期し、ハーバード大学での研究活動に専念した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度、東南アジアにおいてフィールドワークを実施する予定である。また、フィールドワークに基づいて国内政治経済改革と地域協力との相互関係を検討する実証的な研究論文を執筆し、国内・国際的学会で報告を行う。
|