2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジア通貨危機後の地域経済統合:国内改革と地域協力
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15K17008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
舒 旻 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20534986)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 東アジアにおける地域主義 / 東アジア金融危機 / 開発主義国家 / 自由貿易協定FTA / アセアンASEAN / 国際政治経済論 / 地域統合論 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアにおける地域統合は、1997~98年に起きた東アジア金融危機の後、貿易自由化や金融・通貨の協力、地域協力機構の設立などの面において大きな進展を遂げた。一方、東アジア諸国は、国内政治・経済改革に取り組み、それに伴って開発主義国家を特徴とした国内政治経済体制が大きく変わってきた。本研究は、金融危機後の国内改革と地域協力の相互関係に焦点を絞り、国際政治経済論の視点から、東アジア地域協力の国内基盤を解明することを通じて、理論面と実証面から東アジア地域統合論の構築に貢献することを目的とする。 29年度の研究は、国別の地域政策と国内改革の分析、東アジア地域主義に関する論文の執筆と研究成果の発表に集中した。具体的には、(1)中国と東南アジアの三ヶ国(マレーシア、インドネシアとタイ)で計五回のフィールドワークを実施し、現地調査、資料収集と専門家との交流を通じて、東アジアにおける地域協力の国内基盤を考察した。(2)より広い視点から、東アジア金融危機後に国家が主導した地域協力と金融危機前の自発的な地域経済統合を比較し、開発主義国家の変容と地域協力の発展との相互関係を検討した。(3)本研究に基づいて学術論文を執筆し、国内研究会と国際学会で研究発表を行った。 本年度の成果の一つとして、東アジアとEUの貿易関係に関する論文を完成し、来年度出版される予定である。また、9月に国内で開催されたグローバルガバナンス・ワークショップ、10月にインドネシア大学で開催された研究者サミット、1月にバンコクで開催されたADB政策ワークショップ、4月にサンフランシスコで開催された国際関係学会(International Studies Association)で研究成果を発表したとともに、多くの研究者と交流することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、以下の3点から当初の計画がおおむね予定通り進んでいると思われる。(1)東南アジアのマレーシア、インドネシアとタイと北東アジアの中国でフィールドワークを実施したこと、(2)東アジア金融危機後の国内改革と地域協力について総合的な実証研究を行い、理論面から東アジアにおける地域主義の国内基盤を検討したこと、(3)国内外の学会や研究会、政策ワークショップで研究成果を発信し、多くの研究者と交流することができたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、7月にブリスベンで開催される国際政治学会(IPSA)の研究大会と9月にボストンで開催されるアメリカ政治学会(APSA)の研究大会に参加し、本研究の成果を発表する予定である。他の研究者からいただく意見やコメントに基づいて論文をさらに修正し、関連資料を収集したうえで、国際水準のある研究成果を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
2018年7月にブリスベンで開催される国際政治学会(IPSA)と9月にボストンで開催されるアメリカ政治学会(APSA)に参加し、本研究の成果を発表するためである。
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Research Products
(5 results)