2015 Fiscal Year Research-status Report
予期されたショック:産業間の連動性とフォワードガイダンス
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15K17020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 宗親 京都大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (20718134)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / DSGEモデル / ベイズ推定 / News Shock |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題1: 予期されたショックに対する産業間の連動性の条件の解明と実証 本年度は、予期されたショック(news shock)に対する産業間の連動性(sectoral comovement)を、より現実的なメカニズムに基づき生み出すことを目的とし、予備的分析で使用していたモデルをデータへの当てはまり具合を考慮しながら拡張した。本論文は、産業間の連動性を生み出す為の条件を出来るだけ解析的に導き、直感を得るために新古典派的なモデルをもとに分析を行った。産業間の連動性を生み出す上では、部門間における労働の不完全代替性と、家計の選好における消費と労働の不可分性が鍵となることが明らかになった。これらの要素を組み込んだモデルを、ベイジアンの手法を元にした構造推定を用い、実際にデータに支持されるか検証を行い、予期されたショックに対する産業間の連動性の観点では、部門間における労働の不完全代替性が、極めて重要であることが明らかになった。 また、データとの当てはまりに関して、代表的な先行研究であるJaimovich and Rebelo (2009) のメカニズムとの比較も行った。ベイズ因子を用いたモデル比較では、我々の考えるメカニズムは、彼らのメカニズムと比較し、明確に最もらしいという結果を得た。彼らのメカニズムでは、データから推定されたパラメーターの値では、データに観察される産業間の連動性を全く再現できなかった一方、我々のモデルではそれに成功した事が、データの当てはまり上、大きな差をもたらした。 この結果は、ディスカッションペーパー(“Inter-sectoral Labor Immobility, Sectoral Co-movement, and News Shocks”)としてまとめられ、得られたコメントなどを反映したのち、国際学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に示した通り、研究課題1は当初の計画通り、ディスカッションペーパーとしてまとめられ、国際学術誌に投稿し、revise-and-resubmitの評価を受けた。また、研究課題1の結果を元に、研究課題2を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1論文の改定を行い、国際学術誌への早期の掲載を目指す。また、当初の計画通り、研究課題1の結果を元に、価格の粘着性などを導入しモデルの拡張を行い、フォワードガイダンスなどの非伝統的金融政策の有効性を定量的に検証する研究課題2に取り組む。
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Research Products
(5 results)