2017 Fiscal Year Annual Research Report
News Shocks: Sectoral Comovement and Forward Guidance
Project/Area Number |
15K17020
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片山 宗親 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(任期付) (20718134)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 不確実性ショック / 産業間の連動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題1論文から派生した論文、”Uncertainty Shocks and the Relative Price of Investment Goods”の国際学術雑誌への掲載を目指し、国内外の様々な学会などで研究報告を行った。本論文は、Review of Economic Dynamicsから改定要求を得た。 本論文では、不確実性の増大が景気変動に与える影響、またその波及経路を解き明かすことを目的としている。とりわけ、本論文では投資財価格の動向に着目した実証分析の結果をもとに、より現実と整合的な理論モデルの構築を行った。 これまでの主要な理論では、不確実性の増大に直面した企業は、投資活動を控え、様子見行動をとると考えられており、不確実性の増大が投資と投資財価格を同時に下げるような需要サイドのメカニズムを示唆する。しかし、我々の実証分析ではその様な現象は観察されず、逆に供給サイドのメカニズムを示唆する結果が得られた。 本論文では、この結果を踏まえ、標準的なニューケインジアン二部門モデルに必要な拡張を行った。本論文は、アメリカ経済の実情を反映し、伸縮的な投資財価格を想定している。この様な設定のもとでは、不確実性の増加に伴い、消費を減少させ、その一方で投資を増加させてしまう。これは主に投資財価格が伸縮的であることに起因する。この問題に対処するため、本論文では生産要素の部門間移動に不完全性を導入した。これにより、不確実性の増大に伴う、相対的な需要のシフトと生産要素の部門間移動が、投資財の生産コストを増加させる。この様なメカニズムは、供給サイド要因を示唆する実証分析結果とも一致する。これにより、投資財の相対価格は上昇し、投資需要が抑制される。これにより、消費と投資の正の相関を生み出すと同時に、投資財価格の下落という、実証結果と整合的な動きを作り出すことが可能となった。
|