2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17027
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
濱野 正樹 上智大学, 経済学部, 助教 (20711089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 財の品質 / 異質な企業 / 為替レート |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、研究計画通り、主に理論モデルの構築に時間を割いた。Hamano and Picard (2013)とHamano and Zanetti(2014)をベースとし、賃金の硬直性を含み、財の種類の数と品質が同時に内生的に変化する、二国の動学的一般均衡モデルを構築した。輸出には固定費が必要なため、実証分析と整合的に、充分に低い、「品質で調整された価格」(quality-adjusted price)を設定することが可能な企業のみが実際に輸出する、という結果が得られた。また拡張的な金融政策により、財の種類に加えて、財の品質も変化することが確認された。さらには、理論モデルの構築と並行して、Feenstra and Romalis (2014)に基づき、財の種類、財の品質に関するパネルデータの構築に着手し、OECD諸国分のセットを完成させた。 関連して、当該年度の6月初旬には、フランス、パリ政治学院のPhilippe Martin教授を本学に招き、本研究に関連したセミナー発表を行って頂き、有意義な助言が得られた。また8月には、ロンドン・スクルール・オブ・エコノミクスにおけるワークショップに参加し、本研究遂行の上で必要な技術を習得することができた。さらには同月、ヨーロッパ経済学会で関連する研究報告を行った。また予定通りオックスフォード大に2週間弱滞在し、ザネッティ教授をはじめ、本研究にとって有意義な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論モデルの構築はだいたい当初の計画通り進んだ。また財の種類や財の品質に関するデータセットの構築には時間がかかると予想していたが、国連の貿易データのサイトではスクレイピングが出来るようになっており、最近の計量ソフトの進展(本研究では計量分析はRを用いている)と相まって、大幅に時間を短縮することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、理論モデルのさらなる吟味とパネルデータセットの拡張を予定している。理論モデルは現在2国でそれぞれの国に差別化された財を生産する一つのセクターしかないが、最近のBergin and Corsetti(2015)のように二つのセクターにすることも考えている。パネルデータセットは現在のところOECD諸国のみでほぼ全ての国が変動相場制である。これを他の国々にも拡張し、特に固定相場制度の国と比較したい。
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Research Products
(2 results)