2015 Fiscal Year Research-status Report
高次元長期記憶時系列に対する統計的分析法とその応用に関する研究
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15K17038
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
生川 雅紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30588489)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 長期記憶 / セミパラメトリック推定 / 高次元データ / 多変量時系列 / 周期性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高次元な長期記憶時系列データを対象として取り上げ,長期記憶パラメータのセミパラメトリックな統計的推測法の提案とその経済データ分析への応用を目的としている.本年度は長期記憶性を有するデータに対する分析手法を高次元・多変量時系列へと拡張する上で基盤となる研究を主に行った。まず,定常な長期記憶過程に従う高次元時系列を表現しうる因子モデルの拡張・モデル化に取り組み,加えて,既存研究における仮定を検討することで,理論的な性質の導出が見込めることを見出した。それによって,記憶パラメータのセミパラメトリック推定法と組み合わせることで,高次元長期記憶時系列の統計的分析におけるセミパラメトリックなアプローチへの進展が期待できる。次に,効率的Taperを用いたピリオドグラムを多変量局所Whittle法に組み込むことを検討し,新たな多変量非定常長期記憶時系列に対する効率的なセミパラメトリック推定法を考案した。記憶パラメータ推定量の一致性や漸近正規性の導出にはまだ取り組んでいる状況ではあるが,数値シミュレーションを行うことによって,既存のTaperを用いた推定法よりもパフォーマンスが良好であることを確認している。また,研究成果の一つとして,本研究の基礎部分を成している,すでに構築している周期性を有する単変量長期記憶時系列における記憶パラメータのセミパラメトリック推定量に関して,理論的成果や数値シミュレーション含め発展させたものを研究論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に計画をしていた,本研究の根幹となる分析法の数値シミュレーションや理論的性質の整備が想定していたほどは進展しておらず,ある程度の目処が付けられなかったためであるが,当初の予定にはなかった多変量非定常長期記憶時系列に対するセミパラメトリック推定法の考案といった研究課題に関わる重要な内容へも展開しており,それ程消極的な理由による遅れではないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
推定量の漸近的性質の導出と数値シミュレーションによるパフォーマンスの検証を中心として取り組み,高次元定常長期記憶時系列に対するセミパラメトリックな統計的分析法の構築を目指す。それと並行して,提案を検討するに至った非定常性を有する多変量長期記憶時系列におけるセミパラメトリック推定法について,とくに理論的な側面の確立に重点を置いて取り掛かり,推定手法の整備を進めていく。
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Causes of Carryover |
予定していたシミュレーションを効率的に行うためのパソコン等の購入を見送ったことが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の当初計画と同様に数値計算環境の整備を目的として,次年度の研究費と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)