2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17039
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
星野 匡郎 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (80726430)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 空間的自己相関 / 社会的相互作用 / 回帰分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)空間的相互作用の存在するデータについて,従属変数に打ち切りがある場合の回帰分析手法を開発した.提案の手法は,従来用いられてきた空間的トービットモデルと異なり,モデルの誤差項に特定の分布関数を仮定する必要がないため,これまでと比較して実証分析への適用範囲が大きく改善されている.この手法を用いて,東京都における住居侵入・強盗の犯罪率に関する分析を行ったところ,犯罪率に関する空間的相互作用の効果が有意に正であることが認められ,いわゆるホットスポットの存在が統計的に明らかとなった. また,以上の結果を「Semiparametric Estimation of Censored Spatial Autoregressive Models」として論文にまとめ,2016年8月開催のEuropean Meeting of the Econometric Societyにおいて研究報告を行った. (2)2015年度から所属が変更となったため,アメリカの中高生における調査データ(Add Health)の契約を更新した. (3)Add Healthデータを用いて,社会的相互作用(ピア効果)を考慮した同時方程式モデルの推定方法を開発した.これまでの社会的相互作用に関する分析手法の多くは,単一の結果や行動に着目するものであったが,飲酒と喫煙のようにそれらが相互依存的に決定される場合,同時方程式によるモデル化が有用となる.提案の手法を用いて,アメリカの中高生における飲酒・喫煙行動を分析した結果,従来の研究に示唆されるとおり,友人の意思決定が自身にとって重要な要因であることが明らかとなった.さらに,飲酒と喫煙は補完的であるという結果も得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで取り組んできた研究は国際的に評価の高い学会,および学術誌に採択されている.ただし,「トリートメント効果の推定」という観点からは十分に研究が進んでいるとは言えない.以上の理由で(2)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から継続している研究については,引き続き学会報告や学術誌への掲載を目指していく.新規の研究テーマとしては,当初の「社会的相互作用の下でのトリートメント評価」に加えて,「社会ネットワークの形成要因分析」についても取り組んでいきたい.
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Causes of Carryover |
国内学会やワークショップへ参加する予定であったが,申込期限に論文執筆が間に合わなかったため,参加を見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内学会やワークショップへの参加費として使用する.
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Research Products
(2 results)