2017 Fiscal Year Research-status Report
複数選択及び重複選択を考慮した離散選択モデルへのベイズアプローチ
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15K17041
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮脇 幸治 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (40550249)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,実証分析を行うために,データの精査を行った.様々なデータを比較・検討した結果,雑誌 American Economic Review の補足資料として提供されているデータを用いることにした.データはアメリカの自動車保有に関するものであり,家計の属性,保有車種,車種の属性が詳しくまとめられている.このデータを分析する主な理由としては,無視できない割合の家計が複数の自動車を保有していることである. 続いて,昨年度までに開発した統計的手法を用いた実証分析を開始した.その際,昨年度に開発した識別に関する条件を再考する必要があることが分かった.条件は,理論的には合理的であると考えられるが,実証上ではうまく機能していないと判断された.そこで,条件を事後的に課すような統計的手法に修正を行い,実証分析を行うこととした. また,本研究課題で提案される統計的手法はベイズ統計学の手法を用いるものである.そこでは,事前分布の影響を見ることが通常である.そのため,本研究でも事前分布が結果にどのような影響を及ぼしているかについて,感度分析を行った.選択肢の数が多い場合,複数選択を許容していることから,ある程度強めの事前分布が必要であることが分かった. 最後に,本格的な実証分析を開始した.その際,どのように分析を進めるか,どのように結果をまとめるかについて現在検討を行なっている.本研究課題における実証分析は,他に類を見ない側面があるため,分析の進め方およびまとめ方を慎重に行う必要があると考えている.また事後的に課す識別条件についても,様々な方法を検討する必要があると考えている.そのため,先行研究・他研究者との交流を視野に入れ,これらに関する調査を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に関する諸問題はほぼ解決したと考えている.特に推定手法については,その数学的な性質も含めて示すことができた.ただし実証分析に関しては,識別に関する問題の解決,分析の方向性,高計算負荷などの問題が残されているため,やや遅れ気味となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては,実証分析を完了し,論文としてまとめる予定である.そのため,実証分析に関連した先行研究の調査を行う.また,論文にまとめる際,実証分析については慎重にまとめる必要があるため,引き続き,どのように分析を進めるか,またどのようにまとめるかについて,検討する必要がある.また事後的に課す識別条件についても,より実証分析に即したものとなるよう,比較検討を行う予定である.最後に,論文としてとりまとめた結果は,英文査読誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)2017年度末までに実証分析を完了し,論文としてとりまとめる予定であったが,本研究課題で開発した統計的手法が計算機集約的であり,計算時間がかかっていること及び実証分析の取りまとめにおいて解決すべき問題が新たに発生したため,進捗が遅れ未使用額が発生した.
(使用計画)どのように実証分析を取りまとめるかに対して調査・研究が必要であるため,関連する支出(書籍の購入など)を予定している.また他研究者との意見交換を行う必要があり旅費への支出も予定している.
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