2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17047
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
海老名 剛 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (00579766)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 合併 / 企業結合 / 製品差別化 / 逐次合併 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標は,定例研究会と文献・資料収集に基づいて,企業の合併形成と競争政策に関する基本的な理論的枠組の構築を行うことであった.当初の研究実施計画に基づき,平成27年度には,1.企業の合併形成や,2.それと関連した企業行動に関する理論的枠組みを構築し,基礎的分析を行った. 1.と関連して,企業が4社のケースで製品差別化パラメータを導入したモデルを構築し,どのような逐次合併が起こりうるか,また政策的に最も望ましい合併形態は何かについて考察した.従来,あまり考察されてこなかった動学的な逐次合併に焦点をあて,静学的な状況と比較することにより,動学的な状況下では,企業はより合併するインセンティブを強く持つことを明らかにした.同論文は学術雑誌Asia-Pacific Journal of Accounting and Economicsにアクセプトされた.また,共同研究者が国際会議University of Tokyo and National Taiwan University Joint Conference on Industrial Organizationにて報告した.次に,企業数が一般のケースに拡張した論文を執筆した.現在,国際会議European Association for Research in Industrial Economics 2016にアクセプトされており,代表者が2016年8月に報告を行う. 2.と関連して,動学的な状況下で企業が製品差別化の程度を内生的に決定するモデルを構築し,最適な参入時点,および差別化の程度について考察した.そして,市場の成長率が高くなるほど,より異なる製品が投入され,企業の参入時点が早まることを明らかにした.同論文は学術雑誌European Journal of Operational Researchに掲載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している.その主な理由として,動学的な合併形成に関する対する基本モデルの構築,および結果の導出ができた点が挙げられる.具体的には,国際学術雑誌に3本アクセプト,掲載された点が挙げられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,前年度に引き続き定例研究会を行いながら,文献・資料収集に基づいて,理論的枠組みの拡張を行う. 前年度と同様に,3カ月に1度,年合計4回,定例研究会を開催する.独占禁止法との関連についても調査を開始するため,産業組織論,法と経済学,独占禁止法などを専門分野とする研究者を外部から招聘する.特に,近年の製品差別化の程度と合併に関する研究,企業間の合併に対する独占禁止法の適用,および,大規模投資や外国企業が存在する場合の企業結合ガイドラインに関するヒアリングと分析を行う.
|
Causes of Carryover |
当初,ある国際学会への参加を計画していた.しかし,想定していたよりもよりよい論文を執筆できたため,今年度の参加を見送った.その代わりとして,次年度により参加者が多く,採択率の厳しい国際学会で報告することを目的として,繰り越すこととした.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画として想定していたよりもよい論文を執筆できたため,平成28年度請求額とあわせて,より採択率の厳しい国際会議の参加に伴う費用として使用する予定である.具体的には,代表者が,平成28年8月末に,リスボンにて報告を行う予定である.
|
Research Products
(12 results)