2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K17069
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
窪田 康平 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (20587844)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大学進学 / 借入制約 / 世代間社会移動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は概ね計画通り、アメリカのデータを使った研究を国際雑誌に投稿し、日本のデータを使った研究を遂行した。 今年度の当初の計画は、アメリカのデータを使った研究を改善しつつ、日本のデータを使って借入制約が原因で進学できなかった家計がどの程度存在し、どのような属性の家計の子どもが借入制約が原因で進学をあきらめたかのかを分析することであった。昨年度、アメリカのデータを使った研究を研究会で発表し、国際雑誌に投稿した。今年度、研究会で得たフィード・バックや国際雑誌の査読レポートを検討し、日本のデータを使った研究計画を改善する必要があると判断した。主な検討課題はアンケート調査による主観的回答の妥当性を示すことであった。アンケート調査における回答者の主観的な評価は、その信頼性に疑義が生じる。この点を改善するために、子どもの大学進学時における大学進学のコストに関する客観的なデータと回答者の主観的評価を比較する研究計画を策定した。 大学進学のコストは次のような要因によって決まると考えられる。大学の授業料、大学までの距離、大学の定員、大学の偏差値、地域別の18歳時の人口、地域別の失業率。これらは居住地と生まれ年によって異なる。そのため、これらのデータとアンケート調査をマージして、アンケートの長の回答者ごとで大学進学と大学進学のコストの関係を調べることができる。 今年度はこれらのデータを集める準備を行った。大学に関する詳細なデータは紙ベースでしか存在せず、過去のものは国会図書館など一部の図書館でしか入手できない。そのため、どのようなデータが入手でき、必要なのかを事前に綿密に計画する必要がある。本年度は研究計画を練り直すことに多くの時間を費やした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカのデータを使った研究を国際雑誌に投稿し査読結果を得た。残念ながら採択されなかった。アメリカの分析を日本に応用することが当初の今年度の計画であった。しかし、アメリカの研究の査読結果を検討し、研究を改善する必要があると判断し研究計画を練り直した。その過程で新たなデータに関する情報収集を行ったり、改めて先行研究のサーベイといった当初の計画にはないことを行った。そのため、当初の研究計画からやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。(1)大学進学のコストに関するデータを収集し整備する。(2)アンケート調査のデータと収集したデータをマージして、大学進学と大学進学のコストの関係を調べる。(3)アンケート調査の主観的質問の回答とその回答者の大学進学のコストを比較し、アンケート調査の主観的質問の妥当性を検討する。(4)日本のデータを使って、借入制約が原因で進学できなかった家計がどのくらい存在し、どのような家計の子どもが借入制約が原因で進学をあきらめたかのかを明らかにし、論文にまとめる。(5)国内外の学会等で研究を発表し、国際雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更によりデータの入力と整備をする必要性が生じた。データの入力と整備には費用が必要となる予想されるため、次年度に遺したいと考えた。
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Research Products
(2 results)