2015 Fiscal Year Research-status Report
医師・薬剤師の医薬品選択行動と後発医薬品の有効な使用促進策に関する研究
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15K17076
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
佐野 洋史 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50502316)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 後発医薬品 / 医師 / 薬剤師 / コンジョイント分析 / 選好 / 選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コンジョイント分析を用いて、後発医薬品の多様な特徴・条件に対する医師・薬剤師の選好の強さと先発医薬品に対する医師・薬剤師の慣性の強さを把握することにより、後発医薬品の有効な使用促進策とその医療費・患者負担額の削減効果を明らかにすることである。 当該年度は、コンジョイント分析に用いる仮想後発医薬品の特徴・条件を選定するため、後発医薬品の選択要因や使用促進策に関する文献調査を行った。また、先発医薬品に対する医師と薬剤師の慣性の強さを評価するため、現状維持バイアスに関する文献調査と有識者へのヒアリング調査を行った。次に、文献調査とヒアリング調査で得られた情報を基に、医師と薬剤師を対象とした医薬品選択に関するアンケート調査票を設計した。調査票の内容は、調査対象者が品質・副作用に関する情報量や患者の自己負担額などの特徴・条件が異なる複数の仮想後発医薬品と先発医薬品を比較・選択する質問や、調査対象者の性・年齢や先発医薬品の使用歴、現在の後発医薬品の処方・調剤状況といった個人属性に関する質問などである。 本研究の意義は、コンジョイント分析により、後発医薬品の様々な特徴・条件と先発医薬品に対する医師と薬剤師の選好を支払意思額・受取補償額といった金銭価値で表し、医薬品選択における各特徴・条件の重要性を評価すること、また、その金銭価値に基づいて医師と薬剤師の後発医薬品使用促進策の効果を総合的に評価することである。 本研究の重要性は、後発医薬品の有効な使用促進策とその医療費・患者負担額の削減効果が明らかになることである。コンジョイント分析では後発医薬品の特徴・条件や先発医薬品に対する選好を金銭価値で定量的に把握できるため、医師と薬剤師に選択されるために必要な後発医薬品の特徴・条件の改善策と、その施策の総合的な医療費・患者負担額削減効果を提示することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査票の設計にあたり、医師と薬剤師では後発医薬品の選択要因が異なる点を考慮する必要があったため、それぞれの選択質問に用いる仮想後発医薬品の特徴・条件の選定に時間を要した。また、個人属性に関する質問についても、医師と薬剤師で異なる内容の質問を数多く用意する必要性が生じたため、その検討に時間を要した。そのため、当該年度内に予定していた医師に対するアンケート調査を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究作業で得られた知見に基づき、平成28年度には医師と薬剤師の医薬品選択に関する2つのアンケート調査を実施し、データ解析を行う。いずれの解析結果についても、国内外の学会および学術雑誌にて成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度内に予定していた医師の医薬品選択に関するアンケート調査が実施できなかったため、未使用の研究費が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケート調査票の設計は既に終了しているため、医師の医薬品選択に関するアンケート調査は次年度に速やかに実施し、研究費を使用する予定である。当該アンケートは、インターネット調査により実施する。また、薬剤師の医薬品選択に関するアンケート調査も、予定通り平成28年度に郵送調査により実施し、研究費を使用する。
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