2015 Fiscal Year Research-status Report
参照点依存型効用関数による女性の労働供給行動の分析・シミュレーション
Project/Area Number |
15K17083
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森 知晴 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, PD (00733057)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 税の誤認 / 消費税 / 所得税 / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、日本経済学会や関西労働研究会に参加し、女性の労働供給に関する研究に関する情報収集を行った。実証研究にかかるデータ入手については、現在も入手するデータを検討している最中である。また、実験研究は、後述する税の誤認に関する結果を踏まえながら、新たな実験デザインを行っている。
経済実験として、女性の労働供給を分析するにあたり必要な要素である、「税金に対する人々の行動」を測定するための研究を行った。具体的には、消費税と所得税に対し人々がどのような選好を持っているかを経済実験によって測定した。結果として、人々が消費税の計算を誤り、自分にとっては損となる所得税を選択する場合があることを明らかにした。また、累進課税や軽減税率に対して人々がどのような選好を持っているかを検証し、累進課税では限界税率に関する誤認があることを明らかにした。研究は日本財政学会・公共選択学会・行動経済学会・大阪大学・明治大学などで発表を行い(共著者発表含む)、大阪大学社会経済研究所ディスカッション・ペーパーとして公表し、現在査読雑誌に投稿中である。(論文 "A Choice Experiment on Taxes: Are Income and Consumption Taxes Equivalent?")
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、女性の労働供給を研究にするにあたって基礎となる、所得税と消費税に関する「税の誤認」に関する研究を行った。この研究では、税の選択に際して「税の誤認」があることが確認され、本申請研究を遂行するにあたり重要な意義を持っている。しかし、その研究や情報収集を中心として行ったため、女性の労働供給に関する実証研究・実験研究の実施にまで手を回すことが難しくなってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
「税の誤認」に関する研究は論文を投稿する段階に入ったため、今後は女性の労働供給に関する実証研究・実験研究に注力して作業を実施する。平成27年度に実施する予定だった計画は平成28年度前半に実施し、平成28年度に実施する予定だった計画は平成28年度後半に実施することで作業を推進する。
|
Causes of Carryover |
本年度は女性の労働供給に関する実証研究に関する具体的な作業が実施できなかったため、物品の購入は行わなかった。また、実験研究も実施しなかったため、被験者報酬としての人件費も支出しなかった。これらの理由により、多くの次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、27年度に実施できなかった分の研究と、当初28年度に予定していた研究を双方実施予定である。女性の労働供給に関する実証研究・実験研究を実施し、本来の計画通りの支出配分となるよう、研究を遂行する。
|
Research Products
(3 results)