2016 Fiscal Year Research-status Report
担保法制の違いが起業家行動に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
15K17084
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
座主 祥伸 関西大学, 経済学部, 准教授 (40403216)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法と経済学 / 担保制度 / 外部担保、内部担保 / 外部ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、所属する関西大学から在外研究の機会を得、米国カリフォルニア大学バークレー校にて研究を行った。担保制度と外部ファイナンスに関する研究内容を現在まで3つ論文としてまとめてた(まとめている)。この研究で注目した大陸法と英米法の担保法制度の違いとして、次の2点が挙げられる。1点目は、担保とする財産を種類を越えて包括的に担保として登記できるか、それとも財産ごとに個別具体的に登記すべきなのかという点である。制度の違いの2点目は、現在はまだ存在していない将来財産について、担保として登記できるか否かという点である。 1点目の制度の違いが外部ファイナンスに与える影響を考察したものとして、Legal difference in collateral institutions(論文1) をまとめた。この論文では、大陸法の国では、(英米法の国を比較して相対的に)担保して外部担保がより多く利用され、内部担保の利用は少ないことが示された。主な分析を終えているが、関係する現実の制度や実証研究を調べ、本論文との関連づけを行っている。 2点目の制度の違いが、外部ファイナンスを通じてイノベーションに与える分析は、Collatel and innovation (論文2)というタイトルで現在、論文をまとめている。この論文での主なメッセージとして、将来財産を担保と認めない制度の下では、投資家と企業家のそれぞれの努力が独立の関係にあることを示した。一方、将来財産を担保として認める制度の下では、投資家と企業の努力が補完関係にある。その結果、価値の高い研究開発ほど、後者の制度下の方が、研究開発のインセンティブが相対的に高いだけではなく、限界効果も高いことが分かった。 加えて、担保と外部ファイナンスに関連する分析として内部担保と外部担保がもっているそれぞれの機能に関する論文(論文3)も執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗状況については、概ね順調に進展していると考えている。理由は以下の通りである。作成中の3本の論文とも、基本的な考察は終えており、論文1、2に関しては関係ある制度や先行研究との関連づけを行うことが今後取り組むべき課題である。論文3について概ね完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
論文3については、概ね完成しており、投稿先ジャーナルを決定し次第、投稿予定である。論文1については、関係する現実の制度や実証研究を調べ、本論文との関連づけを終え次第、投稿予定である。本年度中頃をめどに投稿したい。論文2については、現在論文執筆中である。今年度、いくつかの学会や研究会で報告機会を得ているので、それらの報告後、コメント・アドバイスを参考に改訂後、年度中の投稿を目指す。
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