2016 Fiscal Year Research-status Report
地域創生のための銀行間競争の役割と金融システムの安定性に関するミクロ計量分析
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15K17092
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大熊 正哲 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (60507987)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金融論 / 金融仲介 / 地域・中小企業金融 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は信用秩序を維持しながら「地域創生」の担い手である地域・中小企業に安定的な成長資金の供給を図るという今日的かつ先進的な政策課題の実現のための政策的含意を得ることを目的とする。研究期間の 2 年目に当たる平成 28 年度の前半は, 関連する先行研究のサーベイを随時行うことで本研究課題の問題意識や分析手法の精緻化を図るとともに, 平成 27 年度から継続して日本国内の地域金融機関(地域銀行, 信金, 及び信組)レベルのパネル・データの整備・拡充に取り組んだ。具体的には, 『日本金融名鑑(各年版)』(日本金融通信社), 『全国信用金庫財務諸表(各年度版)』(金融図書コンサルタント社), 及び『全国信用組合財務諸表(各年度版)』(同)など紙媒体で発行されている各種統計資料から, 地域金融機関の財務, 役職員, 及び会員・組合員に関する情報を収集・整理した。これに企業情報総合データベース「eol」(プロネクサス), 及び「全国銀行財務諸表分析」(全銀協)から収集・整理した地域銀行の財務情報と, 『日本金融名鑑(各年版)』, 『月刊金融ジャーナル増刊号 金融マップ(各年版)』(金融ジャーナル社), 及び『民力 DVD-ROM』(朝日新聞出版)から収集・整理した地域金融市場の競争環境や地域の景況に関するデータを接続することでデータベースを構築した。なお, 金融機関の合併等についても先行研究で行われている一般的な方法に従ってデータベースに反映している。年度の後半には構築したデータベースを用いて地域金融機関によるリスク・テイクの決定要因に関する計量分析を行った。分析結果については主として地域・中小企業金融を専門とする研究者で構成される研究会で報告を行い, 出席者とのあいだで分析の更なる精緻化に向けた意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紙媒体でのみ入手可能なデータが多いためにその手入力に相当の手間をとられたが, 平成 28 年度中に計量分析に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の制約を鑑みて地域金融機関によるリスク・テイクの要因とその地域金融システム全体の安定への影響を中心に分析を進める予定である。平成 29 年度中には分析結果を取りまとめ, 国内外の学会等で研究成果の報告を行いたい。最終的には査読制を採る学術誌への投稿を目指す。
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