2017 Fiscal Year Annual Research Report
Microeconometric Analysis of Bank Competition and Financial Stability: Toward Regional Revitalization in Japan
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15K17092
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大熊 正哲 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (60507987)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域・中小企業金融 / 協同組織金融機関 / コーポレート・ガバナンス / リスクテイク / 金融システムの安定 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は信用秩序を維持しながら「地域創生」の担い手たる地域・中小企業に担保・保証に過度に依存しない銀行融資によって成長資金の安定的な供給を図るというきわめて今日的かつ先進的な政策課題の実現のための政策的含意を得ることを目的として, 国内地域市場における銀行業の市場競争やリスクテイクのあり方と新規開業の促進や雇用創出といった地域の経済発展のあいだの相互関係を主にミクロ計量分析の手法によって明らかにすることを試みるものである。 研究期間の最終年度にあたる H29 年度は, 主として所有形態とコーポレート・ガバナンス構造の違いが日本の国内地域金融機関のリスクテイクに及ぼす影響について実証研究を行った。主要な分析結果として, (1) 2000 年代末のグローバル金融危機下で協同組織である信金・信組は株式会社組織である地域銀行よりも高い安定性を確保していたこと, (2) 信金・信組の理事会のあり方と破綻リスクの間に有意な相関は見出されない一方で, 「株主優位型」の取締役会を有する地域銀行は, そうでなかった場合と比較して破綻リスクが高まったことを明らかにした。なお, (3) 信金・信組の安定性の高さが協同組織金融機関のコーポレート・ガバナンスの脆弱性を反映しているとの推論を支持するエビデンスは得られなかった。こうした研究成果については專門論文のかたちでとりまとめ, RIETI Discussion Paper Series, No. 17-J-064 (独立行政法人 経済産業研究所)として公開している。また, 関連する研究会や日本金融学会西日本部会(2017 年度第 1 回例会)において口頭報告を行い, フロアとのあいだで意見交換を行った。今後は当該 Discussion Paper に必要な加筆・修正を行ったうえで, できるだけ速やかに査読制を採る学術雑誌に投稿する予定である。
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