2016 Fiscal Year Research-status Report
The six major puzzles in Internationaleconomics: Wavelet analysis
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15K17095
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
高 準亨 青山学院大学, 経済学部, 教授 (40632279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Feldstein-Horioka Puzzle / Wavelet / 貯蓄・投資の相関関係 / 国際資本移動 / トレードコスト |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、オープンマクロ経済学や国際金融論におけるパズルの一つであるFeldstein-Horioka (FH) Puzzleの分析を行った。FH Puzzleとは、金融自由化が進むにつれて貯蓄と国内投資の相関が下がらないといけないのに、実際には下がらなかったことでパズルとして知られるようになった。本研究は次の特徴がある。第一に、貯蓄と投資の関連を経済学的に分析するために、ウェーブレット(Wavelet)分析においてRealなところだけを抽出した。第二に、経済学におけるWaveletの活用は今まで2変数間の関連を分析したのが多かったが、今研究ではFH Puzzleの解明にあたって、説明要因とされる候補を一つずつコントロールしながら、貯蓄と投資の相関が下がるかと試みた。 分析に用いた主な説明変数は、人口成長、生産性上昇、財政バランス、貿易コスト、グローバルな共通ファクターである。推計においては、データが利用可能である9か国を対象に1885年から2010年までの年次データを用いて分析を行った。 主な結果は次の通りである。第一に、アメリカやイタリアなど、国のサイズが大きい国が小規模の国よりも貯蓄と投資の相関が高いことが観察された。第二に、資本自由化パターンを時間軸で見ると、大きく分けてU字型と右下がり型の二つのパターンが観察された。第三に、財政バランスが多くの国で貯蓄と投資を最も説明する要因であることが分かった。第四に、グローバルファクターも重要な要因であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は国際金融論・オープンマクロ経済学において長年謎として知られた六つのパズルを分析するために、ウェーブレット(Wavelet)という手法を用いた。 研究成果を論文としてまとめてワーキングペーパーにした。(Ko, Jun-Hyung and Funashima, Yoshito. 2016. On the Sources of the Feldstein-Horioka Puzzle across Time and Frequencies, MPRA Paper 75297, University Library of Munich, Germany.) また同論文を著名なジャーナルに投稿し、結果を待っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き国際金融論の六つのパズルに関連するデータ構築やFeldstein-Horioka Puzzle以外のパズルの分析にも取り掛かる。 またウェーブレット分析で得られた結果と既存の理論モデルと整合的か確かめる。既存の理論モデルと非整合的な場合は、それを補完する理論モデルの構築を試みる。 研究の成果はディスカッションペーパーなどで積極的に公表し、著名なジャーナルに投稿する。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金などで予定より余りができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の人件費・謝金や物品費に回したい。
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