2017 Fiscal Year Research-status Report
両大戦間期イタリアにおけるモード・システム形成と繊維産業構造の分析
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15K17102
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
日野 真紀子 近畿大学, 経営学部, 講師 (60735314)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イタリア / ファッション / 高付加価値化 / 1930年代 / 染色 / プリント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当該期の繊維工業を含む化学工業の成長(あるいは停滞)の中身を詳細にするものであり、繊維工業の一工程である分野が、一産業として確立する時期が、モード・システムの形成期にあたる1930年代であるかどうかを確認する作業である。 今年度の研究の成果として、1930年代の絹織物輸出の拡大の分析が挙げられる。これはモードの創生期と産業構造の変化を捉えることを目指したものであり、大恐慌後も、ファシスト政府および産業全体が輸出製品の付加価値上昇を目指した結果、高付加価値の要素として、「素材」の開発、または、「色」が「デザイン」に加えられたことを指摘するものである。ここでは「素材」あるいは「色」の開発は、主に化学工業という「新産業」の発展が担い、また「デザイン」に関する様々な試みは、経済的な必要に迫られた政府機関が国内ネットワークを形成しながら絹織物の輸出拡大が行われたということを明らかにした。この論文に関しては、雑誌『社会経済史学』への掲載が決定した。 平成29年度の計画は、政府機関であるモード公社の機能について観察することであった。分析する資料としてアパレル専門雑誌L’abbigliamento italianoの収集をすすめてはいるが、1930年代後半のモードシステムを考察する計画に関しては、既に延長申請を行った通り、実施が遅れており、今年度にミラノ大学でのアーカイブおよびミラノ工科大学での資料収集等の計画を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
諸般の事情により、計画の実施が遅れている。これについては延長の申請を既に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の計画の実施がほとんどできていないことから、これを実施する。
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Causes of Carryover |
家族の病気のための介護により研究を中断している。
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