2017 Fiscal Year Annual Research Report
The role of alliance manager in the social collaboration
Project/Area Number |
15K17105
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大倉 邦夫 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (60634722)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソーシャル・ビジネス / 社会的協働 / CSR経営 / 企業の社会的責任 / 環境経営 / 繊維製品のリサイクル事業 / アライアンス / 組織間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、複数の企業が各々の経営資源を持ち寄り、地球環境問題・少子高齢化問題などのいま解決が求められている社会的課題の解決に取り組む「社会的協働」という事業形態を、円滑にかつ効果的に展開するためのマネジメントの問題を考察することである。 具体的には、詳細な事例研究を通じて、社会的協働の管理運営を担う「協働マネジャー」というヒトに着目した上で、マネジメントの諸問題に対する協働マネジャーの役割を解明することを目的に設定した。 本研究は、繊維製品の廃棄物問題という社会的課題の解決に向けて、複数の組織と連携しながら、繊維製品のリサイクル事業を展開した、株式会社エコログ・リサイクリング・ジャパンによる「エコログ・リサイクリング・ネットワーク」を社会的協働の事例として取り上げた。同社において、協働マネジャーとして組織内外の調整に関わった担当者へのインタビュー調査を通じて、以下の点が社会的協働の管理運営を担う協働マネジャーの役割として示された。 第一に、社会的協働を実現するために必要となる組織内外の資源動員に取り組んでいたことが挙げられる。繊維製品のリサイクル事業については、当初事業として成立するかどうか困難な状況であり、十分な経済合理性を示されなかったことから、繊維製品の廃棄物問題の解決という社会的課題の解決を強調し、組織内外の説得を進めたことが明らかとなった。第二に、パートナーとの組織間学習の促進である。繊維製品のリサイクル事業を進めるためには、リサイクルに適した商品開発を行う必要がある。その開発をスムーズに進めるにあたり、パートナーとの密接な学習を通じて相互理解の醸成やリサイクル、技術に関する知識の習得が不可欠であり、それらの学習を協働マネジャーが主導していたことが示された。第三に、社会的協働に対する組織内外の継続したコミットメントを促す役割も本研究から明らかとなった。
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