2016 Fiscal Year Annual Research Report
International Technology Transfer in Process Industry: Management of Operating Knowledge
Project/Area Number |
15K17108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辺 成祐 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (40737467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 操業技術 / 工程間調整 / 暗黙知 / 技術移転 / プロセス産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本と韓国におけるプロセス産業の技術移転過程を明らかにすることで、複数の工程に跨がる一貫した管理技術(操業技術)がいかに移転・蓄積されたのかについて理論的・実証的な分析を行った。具体的に本研究は以下の2つの課題に取り組んだ。 第1の課題は、鉄鋼、醸造産業などプロセス産業における操業技術の蓄積過程を分析し、技術移転における暗黙知と形式知マネジメントのあり方を明らかにすることである。技術を導入する企業には、技術が体化されている個別設備のオペレーション技術だけではなく、複数の工程を調整する能力が求められる。特に高機能製品の生産において、複数の工程のバランスを取ることはノウハウが集約された技術であり、高い経験値を要求する暗黙知に近い技術でもある。 第2の課題は、技術移転の中で、操業技術がいかに移転され、そのことが企業の能力構築にどのように寄与したのかを明らかにすることである。技術を導入する企業からは、暗黙知に近い操業技術の全体像が見えにくいところがある。そのため、より効果的な学習戦略を工夫しながら技術能力を構築していくことになるが、本研究では操業技術を学習するための戦略を選択する過程で生じうる技術に対する主観的な見方および認識(思い込み)をも分析した。新技術導入における不確実性とリスクを緩和する目的で、導入企業には最新設備への依存、移転側の技術者への依存などが観察された。さらに、学習の効率を上げるために、同一技術を繰り返し導入するパターンも観察された。操業技術、中でも工程間調整ノウハウの移転は、導入側の学習戦略にも影響されることが明らかになった。
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