2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17111
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐藤 秀典 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (70588293)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一貫性 / 組織アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、本研究の目的である経営者交代が企業の独自性に与える影響を明らかにするための準備として、分析フレームワーク構築や概念の整理をおこなった。その中で、既存の研究との関連では組織アイデンティティについて考えることの重要性が、さらに、組織の戦略の面では、独自性を維持し続けることによる戦略的一貫性の重要性が確認された。 組織アイデンティティの意図的な変化は経営者を含むマネジャーによって引き起こされることが多いと指摘されている。そのため、経営者が変化することは組織アイデンティティの変化の引き金となりやすいと考えられる。また、経営者の交代は、業績の悪化など危機によるものである場合にはもちろん、通常の交代の場合であっても、前任者と比較しての新規性を打ち出したいと考えることから、戦略的な変化につながりやすい。そのため、経営者の交代は戦略的な一貫性に大きな影響を与えることが考えられる。 このような関連する研究を検討したことにより、これまでの研究では組織の柔軟性や変化への対応力に焦点が当てられてきたが、実際には自らを見失い強みを喪失する組織も多いことから、独自性を維持するような組織の戦略的一貫性についても十分検討するべきであることが改めて確認された。そのため、分析のフレームワークとしては経営者の交代が独自性に与える影響として、戦略の一貫性の観点を強調すべきであると考えられる。これらの研究の成果は現在論文として執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的である経営者交代が企業の独自性に与える影響を明らかにするため、その分析フレームワークを構築するための既存研究の検討を中心に行った。そこから、既存研究では組織の柔軟性に対して一貫性は十分検討されてこなかったこと、そして実際の企業の動向を考えても一貫性についても十分考慮すべきことが明らかになった。 一方、実施を予定していた実証的研究については十分に進捗しているとは言えない。まず、新たに検討した分析フレームワークに基づくと、事前に想定していた調査対象の範囲ではサンプル数が不十分になることが懸念された。そのため、調査対象を再検討し、十分なサンプルを得られるものにするといった作業が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究において、関連する概念が整理され、基本となる分析フレームワークが構築されたことから、今後は当初の計画にあった実証的な研究を集中して進める。また、今年度の検討の中で、当初の計画していた調査範囲ではサンプル数が不十分になる可能性があることから、範囲の拡張も含む調査対象の再検討をおこない、改めてサンプルを収集する。
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Causes of Carryover |
当該年度においては、分析フレームワークの構築など既存の文献を整理することで研究を進めてきたため支出の必要が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当該年度の研究を踏まえて、当初計画していたように実証的な研究を行うこと、さらにそのための情報収集および研究成果の発信等のために学会への参加、論文の執筆を進めるため、それらに使用することを計画している。
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