2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17111
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐藤 秀典 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (70588293)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一貫性 / 独自性 / 経営者 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、本研究の目的である経営者交代が企業の独自性に与える影響を明らかにするためのフレームワークの精緻化および定量的な分析作業を行うためのデータベース構築を行った。 昨年度の研究から、企業の独自性を考えるにあたり、先行研究では組織の柔軟性や変化への対応力が重視されてきたのに対し、組織の一貫性に注目することの重要性が確認されている。 そこで、当該年度に参加した学会で得た先端の研究の知見等も踏まえ、当初の研究計画から一部変更し、組織の戦略的一貫性を表す指標として企業の研究開発活動に注目した。特に研究開発活動ののアウトプットの一つである特許出願を対象に、既存の知識の延長線上の特許と、新たな分野に進出したより新規性の高い特許を区別し、その比率の変化を見ることで企業の活動の一貫性を測定するための指標とした。 具体的な調査対象としては化学、医薬品を中心に複数の産業を対象とした。これらの産業を選定した理由は、研究開発活動が相対的に重要であり、戦略の中心となることが考えられるため、組織の戦略の一貫性を考える上では適切であると考えたためである。これらの産業に属する企業のうち、東証一部上場企業の過去10年のすべての特許出願の状況を検討した。基本的な分析から、多数の企業で既存の知識の延長線上の特許のほうが新規性の高い特許よりも多いが例外もみられること、それらの比率は年によって変動していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織の独自性を考えるうえで重要となる、組織の一貫性をどのように測定するのかについて、当初想定していた国際展開だけでは十分に把握することが困難であることが明らかとなった。 そのため、測定の方法を再検討し、既存の研究でも注目されている企業の研究開発活動に焦点を当てることで新たな測定の指標とし、化学など複数の産業における特許出願の状況を見ることでデータベースを構築した。そこから、産業内での企業ごとの差異や経年的な変化を把握することができ、今後さらに分析を行うことで、本研究の目的である経営者交代が企業の独自性に与える影響を明らかにできると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
組織の独自性を考えるうえで重要となる、組織の一貫性を測定するためのアプローチが定まり、そのためのデータベースも作成できたことから、今後は経営者交代の影響がどのように作用しているのかなど定量的な分析を進める。
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Causes of Carryover |
業務の都合から、予定していた国際学会への参加が不可能となったこと、英文校閲の費用が発生しなかったことから、想定していた使用額とかい離が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究の進展に合わせて、追加で必要な文献や執筆した論文の校閲等に使用する予定である。
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