2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on ICT Utilization Maturity Assessment System for Small and Medium-sized Enterprises
Project/Area Number |
15K17115
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
工藤 周平 石巻専修大学, 経営学部, 准教授 (60549153)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ICT利活用評価 / 中小企業 / アンケート調査 / 実証分析 / 製造業 / 東北地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の中小企業の情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)利活用の評価システムを開発し、その妥当性を検証することである。本研究では、ICT利活用の組織的成熟度、適用範囲、効果の3つの観点から評価システムを構築した。ICT利活用の組織的成熟度では、先行研究に基づいてトップリーダーシップ、コミュニケーション、ICT基盤、外部委託、ICTリスク管理の5つの評価指標から成る評価システムを構築した。それぞれの評価指標に5つの測定項目を配置し、測定項目の点数から得られた数値に基づいて、検証的因子分析や主成分分析を行うことによってICT利活用の組織的成熟度を算出および評価するシステムである。ICTの適用範囲と効果では、全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達、購買物流、製造、出荷物流、マーケティング・販売、サービスという9つの業務におけるICTの適用範囲と効果の評価システムを構築した。東北6県に本社をおく製造業で、従業員数が20人以上300人以下の企業を対象に、2017年6月下旬から7月下旬の期間で郵送によるアンケート調査を実施し、233社から有効回答を得た。分析の結果、ICT利活用の組織的成熟度は7段階尺度の中レベルを少し下回る結果となった。また、製造業における中小企業では、全般管理、製造、出荷物流といった業務におけるデータを複数部門間で共有管理することによって効率性を高めている現状が明らかとなった。これらの結果は、他の企業グループを対象としたICT利活用評価の先行研究で示されている結果と同様の傾向を示している。以上から、本研究で示した評価システムを活用して組織的成熟度、ICT適用範囲、ICT業務効果といった観点から中小企業のICT利活用を評価することは妥当性を有しているといえる。
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