2016 Fiscal Year Research-status Report
繊維産業における技能の社会的評価と同一価値労働同一賃金
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15K17116
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
永田 瞬 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (70550440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 繊維産業 / 職務評価 / 年功賃金 / 人事査定 / 外国人技能実習生 / 中小企業 / 変種変動生産 / 賃金格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は勤務先の在外研究の機会を利用して、繊維中小企業における技能の社会的に評価に関わる調査研究を行った。具体的には、2016年4月下旬、6月下旬、8月下旬、11月下旬の合計4回、岡山県倉敷市の繊維中小企業や関係団体への聞き取り調査および関連資料の収集を行った。2016年度の研究対象は、主として2つに分かれる。第1は、繊維中小企業における外国人技能実習生の技能習得過程の実態分析であり、第2は、繊維中小企業における職務評価及び人事労務管理の現状把握である。前者については、倉敷市内の協同組合経由で、外国人技能実習生を受け入れている事業所に対する聞き取り調査を行った。ベトナム人と中国人の混在職場の実態、ローテーション型外国人労働力の活用が産地に及ぼす影響の実態把握を行った。その結果、外国人技能実習生は、3年間で段階的に技能を習得すること、変種変動生産に規定されて、前後工程への配慮も求められること等が明らかになった。後者については、岡山県中小企業家同友会や児島産業振興センター等の紹介を通じて、労働力確保の観点から人事管理を意識的に行っているユニフォーム関連企業等の聞き取りを行った。その結果、経営指針を明確にしている中小企業群では、職務内容の洗い出し、昇格・昇進における人事査定の公平性の追究、キャリア設計を意識した明確な賃金表の作成等を行っていることが明らかになった。それ以外には、群馬県内の中小製造業に関わる聞き取り調査を行い、研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在外研究を利用できたため、2015年度の研究の遅れを取り戻すことができた。聞き取り調査も当初想定した以上に行うことができた。繊維中小企業の人事労務管理の実態把握にも着手することで、今後明らかにすべき課題も明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、調査研究のとりまとめを中心的に行う。第1に、外国人実習生の受入れ実態及び技能習得過程については論文としての公表に向けて準備を行う。第2に、ユニフォーム関連の中小企業の人事労務管理については、報告書等の形態で調査内容の中間発表を行う。第3に、同一価値労働同一賃金に関わる先行研究のレビューと研究上の到達点を整理する。またそれ以外に、研究課題の遂行と来年度以降の研究課題の明確化のため、繊維中小企業を対象に追加調査も行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、2017年2月中にユニフォーム関連の繊維中小企業を対象とした人事労務の実態調査を行う予定であった。しかし、それ以前の調査研究の取りまとめに時間を要したこと、同一価値労働同一賃金に関わる先行研究のレビューを行う必要性が出てきたこと等を理由として、調査を延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度中に岡山県倉敷市で実態調査を行う。主として当該地域への旅費と聞き取り内容整理のためのテープ起こしに利用する。
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