2016 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization of sense making process which accelerates innovation diffusion
Project/Area Number |
15K17119
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
竹岡 志朗 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 特任講師 (70711555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イノベーション / 普及 / テキストマイニング / 2要因理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2本の論文と共著の書籍を1冊出版した。 1本目の論文「普及過程における商品カテゴリー構成概念の変化」ではイノベーションの普及過程における意味の変化に注目し、テキストマイニングを用いることで消費者の観点から普及過程を分析した。研究成果としては、普及過程の中で消費者による商品カテゴリーへの意味付けが変化すること、そしてその結果として出現する共起ネットワーク上のクラスターを意味づけの次元としてとらえることで、イノベーションに対する消費者による意味形成過程とその結果を明らかにすることができた。 2本目の論文「食品の社会問題に対する消費者の購買意思決定からのアプローチ‐消費者行動による市場正常化の不可能性問題‐」では、消費者の行動という観点から食品の事件・事故という問題にアプローチし、消費者の食品の購買意思決定は安全なものを選択するのではなく、危険なものを選択しないという形であることを明らかにしたうえで、そのような選択性向を持つ消費者の合理的な選択が合成の誤謬となって経済的投票行動を機能不全(消費者行動による市場正常化の不可能性問題)にし、食品の事件・事故の遠因となっていることを明らかにした。本研究は直接的には普及研究ではないが、研究成果が不十分な場合を想定していた2要因理論からのアプローチに関する研究方法を構築するという点で本課題の派生的成果である。 また、本年度は『イノベーションの普及過程の可視化-テキストマイニングを用いたクチコミ分析-』を出版した。本書では本研究課題の成果ととともに、これまでの研究成果をまとめ、またこれら一連の研究の中で構築してきた社会のイノベーションに対する意味形成過程をテキストマイニングを用いて可視化する方法を提示した。これによって、これまでの研究成果を社会に還元することができたと考える。
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