2015 Fiscal Year Research-status Report
震災被災地企業の経営者のリーダーシップとCSR(企業の社会的責任)に関する研究
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15K17120
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 義教 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30537288)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / CSR / 中小企業 / 同族企業 / リーダーシップ / 暗黙的CSR |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、研究初年度として本研究をスタートさせた。本研究課題の目的は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地に本拠を構える企業(被災地企業)が、地域社会に対して社会的責任(Corporate Social Responsibility, CSR)を実践していく過程における経営者の役割とリーダーシップを明らかにするものである。 2015年度には、上記の研究を進める上での基礎づくりに注力してきた。具体的には、①『帝国データ会社年鑑』などに基づく被災地企業の性質の把握、②考察概念であるリーダーシップの理論的な傾向の把握を行ってきた。また、①の結果、被災地企業の性質は、主として企業規模としては中小企業、コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance, 企業統治)の側面からは同族企業位置づけられることが判明した。それゆえ、③中小企業のCSRの概念や実務を整理する必要があり、その取り組みを行った。 これらは、2016年度以降の研究を本格化させるためのメタ研究を中心に行った。それでも、2015年度には、学会発表1回、共著著書1冊、論文1本という形で研究成果を残すことができた。とくに、学会発表について、2015年8月にバンクーバー(カナダ)で開催されたアメリカ経営倫理学会(Society for Business Ethics)において、震災における被災地企業の役割を、経営者のリーダーシップに注目する形で発表することができた。2015年度は、メタ研究の時期であったが、同時に研究成果の公表にも努力をした期間であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の研究計画は、(1)文献状況調査(①震災被害と復興状況調査、②理論文献サーベイ、③雑誌・新聞記事による被災地企業サーベイ)と(2)宮城県の被災地企業調査(水産加工と農業)であった。 (1)文献状況調査については、①から③まで比較的に順調に進めることができたと考えている。しかし、②については、CSRとリーダーシップの関係性に関する文献サーベイを行ったが枠組みを構築するまでには至っていない。③については、震災発生から2年程度分のレビューを行ったゆえに、残りの3年分のレビューが残っている。 (2)宮城県の被災地企業調査については、2015年度は、宮城県の卸売・商社2社、不動産1社の経営者にお話しを聞くことができた。しかし、当初の計画であった水産加工と農業関連の被災地企業について、諸事由が調査をすることができなかった。 このようにおおむね、研究は順調に進捗しているが、2016年度へといくつか研究課題を残すことになったので、2016年度にはそれらを進捗させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度の研究推進としては、上記の「現在までの進捗状況」を踏まえて、以下のように進めていく。なお、研究はおおむね順調に進展していることもあり、研究計画の大幅な変更は必要ないものと考えている。 (1)文献サーベイの継続である。これについては、CSRとリーダーシップに関する英文・邦文文献を徹底的にレビューして、両者の関係性についての枠組みをつくっていく。また、被災地企業の状況については、2013年度以降の被災地の新聞記事を朝刊・夕刊の双方とも記事をピックアップして、地道にまとめていく。 (2)被災地企業の調査については、4社から5社程度行いたいと考えている。2015年度に調査できなかった水産加工や農業関連の被災地企業にアプローチしたいと考えているが、調査対象企業の受け入れ許可の問題もあるので、水産加工や農業にこだわらずアプローチしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、文献や文具などの購入が当初想定していた総量と価額を下回ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度には、次年度使用額を物品や旅費などに上乗せして、必要な文献収集や被災地企業調査に充当するために使用する計画である。
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Research Products
(3 results)