2016 Fiscal Year Annual Research Report
Employees' Political Skill and Political Behavior in Japanese Firms
Project/Area Number |
15K17127
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木村 琢磨 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (30454549)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社内政治 / 政治スキル / ネットワーキング / フェイスワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「政治的パースペクティブ」に依拠し,日本企業における社内政治と政治 スキルの特徴,および企業内意思決定や従業員のキャリアに与える影響の解明を目的とした。具体的には,(1)日本企業における行為者の政治行動の特徴の解明,(2)政治行動の特徴をふまえた政治行動のためのスキル(政治スキル)の理論的検討,(3)政治的環境における政治スキルの効果の検証,の3つをリサーチ・クエスチョンとした。
(1)および(2)を明らかにするため,ミドルマネジャーを対象とした半構造化インタビューによる質的研究を行った。分析の結果,第一に,日本企業で働く従業員が認識している政治行動は,欧米の研究で明らかにされたものと共通点が多いことが明らかになった。第二に,日本企業においては欧米企業と比べ,従業員は戦略的ネットワーキングを行っておらず,同期社員や上司とのつながりなど偶発的に得たネットワークに依存した政治行動を行っていることが明らかにされた。第三に,欧米の研究での発見に比して,政治行動の1つとしてフェイスワークが重視されており,それを効果的に行うスキルが政治スキルの1つとして要求されることが明らかになった。
(3)を明らかにするため,アンケート調査を用いた量的研究を行った。その結果,政治スキルは男性従業員に関しては社内政治を知覚することに伴う不満足感を抑止する効果を持っていたが女性従業員に関してはその効果は見られなかった。また,社員同士の価値観や視点の相違を創造的問題解決につなげていくためには,政治スキルを持つだけでは不十分であることが示唆された。さらに,アンケートの自由記述の質的分析および企業への事例研究により,日本企業においては「根回し」という社内政治の一形態が重視されているものの,欧米の先行研究で見られるような印象操作や意味形成を伴う政治行動が重視・実行されていないことが示唆された。
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