2015 Fiscal Year Research-status Report
専門的経営人材とボーングローバル企業:急速な国際化における組織能力獲得過程の探索
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15K17131
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
琴坂 将広 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20706569)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スタートアップ / ボーングローバル / 専門的経営人材 / ベンチャー企業 / ベンチャー投資 / 創業支援 / 国際化 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年度として精力的な情報収集を行い、創業初期からグローバル化を果たす企業の専門的経営人材の活用、またそれがもたらす資金面や事業面への影響について多面的な情報を獲得することができた。同時に、調査の過程において明らかになった知見を精力的に社会に還元し、大きな反響を得ることができた。 具体的には、年度内に18件の起業家及び専門的経営人材のインタビューを実施し、16回の経営者座談会のオーガナイズ、出席を行うことでスタートアップ経営者がどのように人材を採用し、資金を調達し、事業を拡大させるかについての多面的な視座を得た。これらは全て動画または音声で記録されており、文字起こしの上、分析が可能な状態に加工した。さらに、年度内に約1700社のスタートアップ企業に対して質問票調査を実施し、約270社から有効回答を得た。これについては次年度実施予定の質問票調査の回答と合わせて分析し、複数の論文として発表できると考えている。 発信の側面では、調査結果を直接的に活用した記事論文として、計7本のオンライン記事、雑誌論文、レポートコラム、学術論文を執筆した。2016年6月に国際大会に発表予定の学術論文以外は全て一般に公開され、大きな反響を得た。 その他、数多くの研究者、実務家との対話の機会を設け、国際共同研究の可能性に繋がるなど、次年度以降に向けて、大きく前進した初年度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初実施予定であったインタビュー調査に加えて、経営者座談会への参加とその内容の研究面での活用が可能となった。二年目以降に実施予定であった定量調査を初年度から実施することが実現し、二年目にはより対象を拡大した調査を行うことを決定できた。さらに初年度から一般向け、実務家向け、研究者向けの計7本の成果発信も可能となり、情報収集、発信の両面から順調に調査が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、当初の予定を繰り上げて、学術論文の発信と執筆を推進していきたい。 具体的には年度内に分担執筆を務める英語の論文を執筆し、それをまずは刊行する。同時に、学術論文としての執筆を優先させ、少なくとも3本の学術論文を年度内に完成させ、それを国際学会に投稿したい。同時に、データセットのさらなる充実を図りたい。すでに初年度に実施した質問票調査は創業5年以内のICT企業(約1700社)が対象であったが、創業5年以内に限定したことで国際化の進展状況、社外専門人材の活用という点で多くの企業が限定的であった。したがって本年度は創業10年以内のICT企業(4000社)を対象として、より充実した回答、とくに国際化の進展した企業や経営チームの充実した企業の回答を得ることを計画している。 また、研究の国際協力を進めるため、全ての執筆において外国籍の研究者の支援を得られないかを検討する。まずは学術面での貢献を明確にすることで、最終年度に予定している一般向けへの発信の内容も前倒しで磨きこみたい。
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Causes of Carryover |
当初、海外研究者との打ち合わせのために英国で開催されるSASEへの出席を旅費として支出予定であったが、この支出に対して国際共同研究を実施しているEHESSのINCASより旅費の支給を受けることが可能となったため、支出を取りやめた。 同様に東京での調査に際しての支出を計上していたが、こちらも招聘を受ける機会が多く、そちらから旅費支給を受けることとなったため、支出を取りやめた。さらに、質問票調査の実施にあたって、協力研究機関(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター)よりウェブ回答システムの設計と実装等の費用の支出を頂いたため、人件費についても大きく抑制された。 その一方で、分析対象となるデータが当初の想定より大きくなったこと、最新の分析手法を取り入れることが査読付き学術論文を著名学術誌に掲載するに必須であることが判明したため、分析に必要となる物品の購入費が大きく増加した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度実施予定の調査では、より大量のデータの分析が必要となるため、それに対しての人件費として使用したい。また当初の計画通り、本年度作成した学術論文を国際学会で発表するための旅費としても一部を使用したい。また年度後半に学術論文が採択された場合は、英語校正等出版に当たる経費としても計上したいと考えている。
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Remarks |
(1) 2016年6月に国際学会で発表予定の論文をディスカッションペーパーとして公開しています。
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