2017 Fiscal Year Research-status Report
国内産業構造変化が起業活動に与える影響について:フィンランドの事例から
Project/Area Number |
15K17138
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
カン ビョンウ 一橋大学, 大学院商学研究科, 講師 (70735365)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 起業 / スピンオフ / アントレプレナー / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社内の資源を活用し、起業活動を教育し・支援する方法を明らかにすることを目的にしている。上記の問題意識に対する答えを得るために、ノキアが自社の従業員に提供したブリッヂ・プログラムの起業トラックに着目し、そのプログラムの運営側が行ったサーベイ・データを用いた分析を行っている。 理論構築のために参考する既存研究として、起業家の特性と育成・教育に関する研究とスピンオフ戦略に関する研究を参考した。起業家は教育により育成可能であるとされるが、起業家育成に有効な教育内容については議論がまだまとまっていないことが分かった。また、スピンオフ戦略は有効的であるが、企業が縮小しているときに有効であるかはまだ分析されていないことが分かった、 以上の既存の研究を踏まえ、これまでのサーベイ・データ分析を通じて明らかになった重要点は以下の三つにまとめられる:1)専門性をさらに強化する教育が起業活動につながったこと、2)「戦略概論」「市場分析」等の基礎的な経営系の科目の教育が企業活動につながったこと、3)かりに、企業が縮小しているとしても、スタートアップに資金を提供すれば、そのスタートアップ企業とのビジネス連携が発生し、ビジネス・エコシステムが形成できること。これらの分析は、ある企業がスピンオフ戦略を実施する際、あるいはビジネス・エコシステムを形成する際に活用できる知見を提供している。 最後に、これまでの研究成果をいくつかの国際学会とワークショップの場で発表し、参加者からフィードバックを得た。参加者からは本研究の実務性を高く評価された他、サーベイ内容の限界点を指摘された。研究発表を行った内容と他の研究者から得たフィードバックに対する追加分析をまとめ、ディスカッション・ペーパーを執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究発表、ディスカッション・ペーパーの執筆ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
関連する学会、ワークショップで研究発表を追加的に行い、本論文のさらなる改善点を探す。 また、本プロジェクトの最終年度である平成30年度には、論文を国際学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】サーベイ・データを計画より早期に入手でき、現地調査の必要性が少なくなったためである。 【使用計画1:国際学会】本研究成果を広めるために、国際学会に参加する。 【使用計画2:物品購入費用】今あるデータベースと研究機材を最新のものに更新し、研究効率を上げる。
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