2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17139
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上原 渉 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (30515060)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マーケティング機能の分散 / 海外市場における合弁先の役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は日本企業が多く進出しているタイを中心に、海外現地法人の担当者にインタビュー調査を実施した。 インタビュー調査から明らかになった最も重要な点は、日系の消費者向けビジネスを行う企業の多くがマーケティング活動の多くを現地の合弁先企業に委ねており、日本側が管理しているマーケティング活動はブランド・イメージの管理など、ごく一部に過ぎないという点である。ここで注目すべき点は、合弁先企業にマーケティング機能の多くを委譲した方が、全般的にパフォーマンスが高い傾向にあるという指摘を、多くの実務家や研究者が行っていることにある。特に流通や営業については、本社が管理することを市場に進出する当時から放棄し、流通や営業に強い合弁先を見つけることが成功の条件であるという指摘もあった。日本からの出向者がかかわるのは、マーケティング以外の財務的な部分と、生産品質の管理といった一部であることが多いようである。したがって、マーケティング機能は分散しているだけでなく、機能間の調整も十分に行われていないことが分かった。 こうしたインタビューの結果から導かれるのは、流通や営業はマーケティング機能の一部ではあるものの、その他の機能と分散し、調整が行われていなくても特に大きな問題がないという仮説である。既存研究では、マーケティング部門はマーケティングの様々な機能を統括して管理することが重要であると指摘されてきた。しかし、複数の回答者の意見では、調整することによる時間のロスや、本社と現地法人、合弁先企業のパワー関係が影響してしまう調整は無意味であることなどが指摘された。 現在、この仮説を中心として調査票を作成中で、平成29年度6月ごろに定量調査を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度中に定量調査を実施する予定であったが、現在までのところ未実施である。およそ半年ほど計画から遅れが出ている。その理由は、研究実績の概要で述べたように、仮説が変更されたことにある。当初の仮説は、マーケティング機能の分散とその調整の不調は、マーケティング活動の成果にマイナスの影響を及ぼすと想定してきた。しかしながら、海外現地法人の活動の観察と、担当者へのインタビューを通じて分かったことは、マーケティング機能、特に流通と営業が現地の合弁企業に完全に委譲されており、日本側と調整が行われていないということである。それにもかかわらず、その活動の成果は、権限を委譲していない企業に比べ、相対的に良いということであった。 こうしたインタビュー調査の結果の一般性と妥当性を確認するために、追加のインタビュー調査を実施する必要性が生じた。これが進捗の遅れの原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度中に行ったインタビュー調査の結果と、修正した仮説を踏まえた調査票を、現在作成中である。平成29年度の前半に調査会社を使ったサーベイ調査を実施する予定である。サーベイは日本国内のマーケティング担当者を対象に行うことを予定している。データの回収が予定通りいけば、データ分析も平成29年度前半に終わらせることができるだろう。 分析結果を受けて、平成29年度後半には論文を執筆し、投稿する。これまで行ってきたインタビュー調査によって、既存研究とは異なる視点から仮説構築ができると思われる。 残念ながら、平成29年度中に論文が掲載されることはないと思われるが、予想通りの結果が出れば興味深い論文になるだろう。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、調査会社を使ったサーベイ調査が未実施のためである。サーベイ調査が実施できなかった理由は、インタビュー調査によって仮説の修正が必要であることが分かったからである。 サーベイ調査には150万円ほど見込んでいるが、質問票の量と回答者の集まり方によってはもう少しかかる可能性もあり、次年度使用額とほぼ同額であると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、インタビュー調査の結果と仮説の修正を行った質問票を作成中である。平成29年6月ごろには、サーベイ調査が実施できる予定である。サーベイ調査は、Common Method Biasを避けるために、2回行う(調査会社の見積による)。1回目は説明変数となる質問を、2回目は同じ回答者に対して従属変数のみを再度調査する。
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Research Products
(3 results)