2018 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between bias of favor and local attachment in regional branding
Project/Area Number |
15K17142
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 靖人 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (60534815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域 / ブランド / エシカル / 地域関与 / 地域資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「地域への関与」の高まりが、地域への愛着やコミットメントの現れとして「ひいき(ステレオタイプ)」を生み出し、ブランド評価を増減させる可能性を検討するものである。最終年度は、前年度までの課題を踏まえて地域ブランドと「エシカル生産・消費」「認証制度」の関係に注目した研究を実施した。 地域のフラグシップ資源である「ワイン」を対象に、学内研究者と連携して、ワインブドウ/ワイン生産における「ライフサイクル・アセスメント(LCA)」研究を行いエシカル生産の可視化と今後の課題研究を実施。 エシカル消費に関しては、首都圏及び県内の消費者を対象としたアンケート調査(対面・ウェブ)を複数実施。市場の発展によってサプライチェーンが複雑化・広範化し、原材料がどこで取れているのか、どのような取引がされているのか、どんな人々が関わっているのかを消費者がイメージできないことを明かにした。この結果、不適切な資源利用や取引が行われている可能性も実感できず、現在トレーサビリティ・システムなどもあるが、サプライチェーン全体を理解することはできず、エシカル消費の認知は、そもそも困難な状況であることが示された。 また、グローバルな認証制度(SFCやGI)や国内認証(エコマークや地域ブランド商標)等についての消費者認知の現状を把握するとともに、どのような切り口であればエシカル消費に関する意識づくりが可能であるのかを分析した。その結果、食を中心とする個人の健康や安全・安心情報については感度が高いことが示されている。このことは、エシカルは総論ではなく、パーソナライズされた各論からの意識づくりが必要であること、すなわち自分のアクションと社会との繋がりを個人単位で実感させるフィードバックと学習のための仕組みづくりや社会制度の構築が必要であることが示唆された。
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