2016 Fiscal Year Research-status Report
サービスエンカウンターにおける価値創出過程にかんする会話分析的研究
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15K17144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平本 毅 京都大学, 経営管理大学院, 特定講師 (30469184)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サービスエンカウンター / 価値共創 / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は江戸前鮨屋、ハンバーガー屋、透析クリニック、イタリアンレストランを対象に分析を進めるとともに、サービス間の比較研究を行なった。江戸前鮨屋については職人が客の能力を見極めるプロセスを明らかにし、江戸前鮨屋のサービスの緊張感を作り出す方法を抽出した。一方、これと比較されるハンバーガー屋においては、メニュー表の使い方により客の経験が示され、それにより店員の扱い方が変わることがわかった。この二つの、客の経験と能力の見極め方の違いが、サービスの価値の差に結びつくであろうことが指摘された。透析クリニックについては、カール・ワイクの組織化論を批判的に深めるために、患者の行う血圧値の理解・解釈等々の認識が、その場の人々にとって使い分けられ、それが透析治療の場を秩序立てていることを示し、組織成員の認識を研究者がどう扱うべきかを論じた。イタリアンレストランについては、店員が客の様子に気づき、注文を取りに来るシステムを明らかにした。これにより、イタリアンレストランのサービスの価値が作り上げられることが指摘された。一方、この研究に使われる会話分析の方法論については、近年この領域で盛んに取り上げられる認識性概念について議論を行い、どんな知識や経験がその中に内包されているかを経験的に明らかにすることが重要であることを議論した。さらに、これらの経験的研究に基づいたサービスのデザインの実践について、その方法論を組織・コミュニティを対象に深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各サービス場面について個別の価値共創メカニズムを明らかにし、またサービス間の比較研究も進んでいる。一方、新たなデータの収録と分析も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに複数のサービス場面の価値共創メカニズムを明らかにするとともに、それらの間での比較研究を進め、サービス産業の生産性向上に向けた基礎的・経験的研究を進捗させる。特に今年度は、アパレルサービスの接客場面とクリーニング屋における価値共創プロセスの分析を重点的に行う。
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Causes of Carryover |
調査費用を一部節約できたため。また国際学会視察を今回取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会視察を行い、また追加調査を実施する。
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