2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17147
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
浦野 寛子 立正大学, 経営学部, 准教授 (40585957)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | おもてなし / ホスピタリティ / サービス / マーケティング / 海外展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は3つある。第一の目的は、日本独自の「おもてなし」概念を定義づけることである。第二の目的は、「おもてなし」を構成する要因を抽出し体系化することである。第三の目的は、「おもてなし」を海外輸出するにあたっての戦略を明らかにすることである。 本研究は今年度が初年度にあたる。本年度の研究実績としては、当初の予定通り、文献調査、国内外のインタビュー調査、現地調査を行った。 具体的には、文献調査としては、「おもてなし」「ホスピタリティ」に関連した書籍・論文より、「おもてなし」の特徴を抽出した。これまで必ずしも明確化されてこなかった「おもてなし」の本質について、「おもてなし」に概念が近いとも言われる「ホスピタリティ」と比較しながら、その特徴について類似点、相違点を明らかにした。 また、文献調査に加え、現代の産業界における「おもてなし」概念の捉え方、「おもてなし」概念を成立させる要因を抽出し体系化するため、国内外のインタビュー調査、現地調査を行った。調査対象としては、「おもてなし」に関連が深いと考えられる宿泊業界・航空業界・旅行業界・百貨店業界・美容業界・運送業界・飲食業界等をターゲットとした。具体的な企業名としては、「京王プラザホテル」、「JAL」、「JTB」、「高島屋」、「QBハウス」、「ヤマト運輸」、「東京すしアカデミー」等にインタビュー調査を行った。海外現地調査としては、上記の対象企業が海外展開しているシンガポール、ハワイ、上海に赴き、ヒアリング調査を重ねると共に現地資料収集も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である今年度は、文献調査から「ホスピタリティ」と「おもてなし」に共通する部分・異なる部分を見出した後、「おもてなし」概念の独特の要素をまとめた。「おもてなし」概念の特徴を整理するにあたっては、先行研究の知見から、300年から400年の歴史がある茶道、350年続く京都花街・芸舞妓のおもてなし、そして旅館から日本古来の「おもてなし」の特徴を抽出した。 しかし、日本古来の「おもてなし」概念と現代における「おもてなし」概念は、異なる部分も存在すると考えられる。そのため、現代の産業界における「おもてなし」概念を明らかにするため、「おもてなし」を標榜するサービス関連企業へのインタビュー調査も行った。 こうして、日本古来の「おもてなし」概念と、現代的な「おもてなし」概念を整理した上で、「おもてなし」概念を成立させる要因を幅広く抽出した。抽出した要因の数としては約60項目に及んだ。 また、「おもてなし」の海外輸出に関する知見を得るため、海外現地調査を実施した。「おもてなし」という日本人の特性が現れるサービスのあり方がどのように強みを発揮するか、「おもてなし」の中に世界に通用する日本固有の優位性があるとしたらそれはどのようにして生まれるか、について調査を行った。海外現地調査からは、いくつかの仮説を導き出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、インタビュー調査として、「おもてなしする側」である産業界に対する調査を行ったが、次年度に関しては、「おもてなしされる側」である消費者へのインタビュー調査を中心に行う予定である。 調査手法としては、まず、定性的に消費者へのフォーカス・グループ・インタビューを行い、「自分の経験したおもてなし」「おもてなしにどのようなイメージを持っているか」「どのようなときにおもてなしを感じるか」「おもてなしに必要なものは何か」などの話題を提示し自由に意見を表明してもらう。 その後、今年度の産業界への調査、そして次年度の消費者調査を合わせた上で、再度「おもてなし」の概念と構成要因を抽出し体系化する予定である。 場合によっては、今年度だけでも既に約60項目に及んでいる要因をいくつかの因子に要約するため、大量サンプルによるアンケート調査を行い、定量的に分析し、構成要素をより端的に明確化することも検討している。 また、「おもてなし」の海外輸出に関する知見を得るための海外現地調査に関しては、仮説を検証していくためにも、より多くのケースを積み上げる作業が不可欠であるため、更なるインタビュー調査・現地調査を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していたインタビュー調査としては、概ね順調に予定通りこなした。 次年度への予算の繰り越しはわずかで、特に問題はなく、予定通りだと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度繰り越した額については、次年度のインタビュー調査の交通費として充当したいと考える。
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