2016 Fiscal Year Research-status Report
地域ブランドの構築における協働関係の生成と変容に関する研究
Project/Area Number |
15K17150
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日高 優一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90550335)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 地域ブランド / 公共・非営利マーケティング / 関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域ブランドの構築における多様なアクターの関係性の生成と変容がどのように進展するのか、その結果、それらは地域ブランドの構築とどのような関連性を持つのか明らかにすることを主な目的としている。 研究代表者が、当初本研究を計画した際とは所属機関が変更になったため、研究計画の一部見直しをする必要性に迫られたものの、可能な範囲内で研究計画の見直しを行いながら当初の目的が達成できるよう研究を進めているところである。具体的には、まず、公共・非営利マーケティングにおける理論展望をすすめながら、地域ブランドをとりまく関係性を捉える理論枠組みの整理、および事例研究を通じた新たな理論的視座の検討を進めている。これまでの成果として、直接的にターゲット顧客へのマーケティング活動を捉えるダウンストリームに加えて、政策決定者などより社会の上位の意思決定者への働きかけるアップストリームの連動が、社会全体での規範形成に大きく寄与する可能性があること、両者の連動を促す要因を明らかにすることが本研究課題を進展する上で重要な課題となることを特定し、事例研究に取り組んでいる。事例研究では、ふるさと納税を通じた寄付規範の形成プロセスを取り上げ、上記課題に関する理論的示唆を提供することを当座の目標として取り組んでいるところである。なお、これらの研究活動は、研究代表者のこれまでの研究蓄積も踏まえながら、公表できるものから順次公表できるよう、査読付研究雑誌への投稿を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2年目となる本年度は、本研究課題の理論的視座の再検討、および事例研究を通じた新たな理論的視座に関する考察を進めてきた。具体的には、地域ブランド、あるいは社会全体での公共に資する規範の形成過程を考察するに際しては、ターゲット顧客に対して直接的に働きかけるダウンストリームだけではなく、政策決定者など社会におけるより上位の意思決定者に対して働きかけを行うアップストリームが重要になること、ダウンストリームとアップストリームの連動が重要だと指摘されながら、両者の連動を促す要因は明らかになっていないため、この点に関する考察を進めることが重要であることを明らかにした。これらの考察は、順次査読付研究雑誌への投稿を進め、研究成果の一部は査読付雑誌へのアクセプトという成果につながっている。以上より、本研究は概ね順調に進展している状況にあると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度得られた知見や理論的視座を手がかりとして事例研究をより精緻に進めると共に、成果を査読付雑誌への投稿や学会発表などで社会に対して発表していく予定である。当初の予定では想定していなかった研究の方向性を見出しつつあることもあり、これらの点に関する研究にも取り組んでいきたいと考えている。来年度が本研究の最終年度ということもあり、これまでの研究成果の公表、および研究過程で得られた更なる研究課題の精緻化に取り組み、今後の研究の土台を構築していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
来年度は本研究の最終年度ということもあり、研究成果の公表や他の研究者との意見交換をより重視しようと考えており、海外も含めて旅費を多く拠出することが見込まれる。そのため、当初の計画よりも最終年度に拠出可能な金額を確保するため、研究資金の効率的な運用を心がけたことが次年度使用額の発生につながった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述のとおり、本年度は本研究の最終年度ということで、海外を含めた学会発表やた研究者との研究会などの場での意見交換を当初計画より増やすことを計画している。これらの旅費等に拠出する計画である。
|