2015 Fiscal Year Research-status Report
原価計算情報を有効活用できる経営管理者の特性に関する実証的研究
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15K17155
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
尻無濱 芳崇 山形大学, 人文学部, 講師 (20728331)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原価情報 / 地域包括ケアシステム / 項目反応理論 / 組織間管理会計 / 原価操作 / 上層部理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
経営管理者の特性と原価情報の利用の関係を調査するために、複数のインタビューを行った。計画では介護事業を営む経営管理者に焦点を絞り調査する予定だったが、アクセスできるフィールドが増えたため、医療法人の経営管理者や、産学連携を中心に行っている公益財団の経営管理者に対するインタビューも行った。インタビューを通じて、必ずしも原価情報にとどまらない組織内での意思決定における情報の利用や、組織間の連携・調整を促進するICTシステム投資の際に活用される会計情報など、当初想定していなかった知見が得られた。さらに、様々な研究会やワークショップに参加する中で、政府調達に関連して、契約企業の経営管理者による原価情報の操作という新たな原価情報の利用に関する研究機会を得た。そこで、先行研究のサーベイと予備的分析を実施した。このように、インタビュー、研究会、ワークショップへの参加を通じて、当初予想していなかった幅広い原価情報の利用を経営管理者は実践していることが分かった。この知見を活かして、翌年度以降の研究計画を修正することで、より実務へのインプリケーションが大きい研究になることが予想される。 これらのインタビュー成果に加えて、本研究では質問票調査を行う予定であるため、その準備として項目反応理論の方法論についてのセミナーを山形大学で開催し、方法論に対する知見を深めた。管理会計研究領域では項目反応理論を使った質問票調査は皆無である。項目反応理論を用いた尺度開発を行うことで、より精緻な研究結果が得られると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と異なった方向ではあるが、実務に対する意義の大きい研究に進展しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
単独の組織だけではなく、組織間のマネジメントに原価情報がどのように利用されているか、特にこれまで十分研究されてこなかった水平的なネットワークにおける原価情報の利用について、山形および大阪をフィールドにして、継続的にインタビューを実施していく。さらに、認知的タスク分析の方法論を学ぶワークショップを開催し、方法論を習得したうえで、質問票調査の開発を行う。
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