2017 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical research on the role of financial covenants
Project/Area Number |
15K17156
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 亮介 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40549713)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 財務制限条項 / 投資活動 / エージェンシーコスト / 不完備契約理論 / 財務活動 / コベナンツ / 債務契約 / 資本コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,まず財務制限条項が借り手企業の会計行動に及ぼす影響について検証した「財務制限条項と利益調整行動-負債契約仮説の再検討-」(『會計』第192巻第9号,80-94頁,河内山拓磨氏との共著)を公表した。また,財務制限条項への抵触が借り手企業の資金調達活動に影響を及ぼすことを示した「財務制限条項への抵触が企業の負債コストに及ぼす影響」(『経営財務研究』第37巻第1・2号,2-27頁,河内山拓磨氏との共著)を発表した。 さらに,日本のメインバンクシステムと財務制限条項との関係について検討し,その成果を海外にて報告した("Determinants of Accounting-Based Financial Covenants: In Comparison with Japanese Main Bank System" The 6th International Accounting Conference, Yogyakarta,河内山拓磨氏との共同報告)。 そして,研究期間全体を通じて実施した研究の成果を,著書『財務制限条項の実態・影響・役割-債務契約における会計情報の活用-』(中央経済社,河内山拓磨氏との共著)として発表した。そこでは,日本における財務制限条項が,その内容に画一性が認められ,抵触時に明示的な罰則が科せられることが少ないとされる一方で,借り手企業の状況に応じて債務契約に財務制限条項を付けるか否かが決定されており,その結果,条項抵触および条項情報の開示内容が各ステークホルダーの行動に広く影響を及ぼしている,と結論付けた。このことは,日本における財務制限条項が各ステークホルダー間の利害対立の調整もしくは債権者へのコントロール権の移転という本来の役割を果たしている可能性を提示するものである。
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Research Products
(8 results)