2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-border accounting information transfers
Project/Area Number |
15K17161
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北川 教央 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80509844)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 会計利益 / 経営者予想利益 / 情報波及効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、海外企業の利益発表が国内同業他社の株価に及ぼす情報波及効果について検証することである。 最終年度では、初年度に行った包括的な文献サーベイに基づき、これまでの研究で得られた会計情報の波及効果に関する知見と将来的な研究課題について、論文に取りまとめた。当該論文では2種類の先行研究に焦点を当てた。1つは、会計情報が他企業に関する投資家の評価に及ぼす波及効果について検証した先行研究である。具体的には、ある企業の(1)実績利益、(2)経営者予想利益、および(3)利益の修正再表示が、(1)国内同業他社、(2)海外同業他社、(3)取引関係のある他企業、(4)企業集団内の他企業、および(5)国内における全上場企業の株価へ及ぼす波及効果について検証した先行研究を取り上げた。いま1つは、会計情報が他企業の経営者の意思決定に及ぼす波及効果について検証した先行研究である。具体的には、ある企業の(1)利益発表および(2)利益の修正再表示が、他企業の(1)投資行動および(2)会計行動に及ぼす波及効果について検証した先行研究を考察した。 そのうえで、上記の研究結果を踏まえ、本研究課題の関心である会計情報の国際的波及効果について検証を行った。具体的には、米国企業の年次利益発表が、日本の同業他社の株価にもたらす情報波及効果について検証した。しかし、分析結果は予想に反し、平均的には米国企業の年次利益発表が、国内同業他社の株価に影響を与えていることを示唆する証拠は得られなかった。 近年のわが国企業における海外売上比率は増加傾向にあり、研究当初は海外における同業他社の業績動向が日本企業の将来業績の説明要因として重要であることが期待された。しかし、現状の分析からはそれを支持する証拠は得られなかった。ただし、本研究には分析デザイン等に関して改善の余地があり、今後の検討課題として残されている。
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