2016 Fiscal Year Annual Research Report
Management Control Systems for Relationship Marketing Strategy: A Longitudinal Case Study on Fixed Revenue Accounting at a Japanese Semi-Conductor Trading Company
Project/Area Number |
15K17167
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
松岡 孝介 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30453351)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 管理会計 / マーケティング / 顧客関係性 / 固定収益会計 / マネジメント・コントロール・システム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては,初年度においてアジア太平洋管理会計学会(APMAA)の年次大会で報告した内容を見直しを進めた。まず,固定収益会計に関わる理論的背景の説明を明確にする作業を行った。 次に,事例研究全体についての見直しを行った。そのために,質的データの分析用ソフトウェアであるNvivoの講座を受講した。その後,Nvivoを用いてインタビュー内容を改めて精査した。その結果,A社においては,固定収益会計の導入によって3つの効果があったことが確認された。1つ目は,A社のメンバーが新しい戦略(関係性マーケティング戦略)を受け入れるようになったことである。これまでとは異なる新しい戦略が導入された際,組織成員は抵抗を示しがちであるが,固定収益会計は新戦略(関係性マーケティング戦略)によって財務的成果が上がっていることを可視化し,組織成員の抵抗を和らげた。2つ目は,戦略を実現する道筋が組織全体で理解されるようになったことである。固定収益会計は,新規客を獲得し,固定客を維持・育成することによって固定収益が得られることを明示する。A社では,固定収益だけで損益分岐点を超えるようにして,安定経営を目指すという目標が共有されるようになった。3つ目に,その目標を達成するために必要な役割が各部門で明確にされたことである。たとえば,情報部門ではシステム化を進めて固定費を低減する,技術部門は魅力的な製品を開発して新規客の獲得力を高める,営業部門は顧客との継続的な関係性を強化して固定客化を図るという役割があることが認識された。 最後に,海外雑誌への投稿を行った。だが,残念ながら,同雑誌からは,投稿受理の連絡があったが,その後の査読結果についての返信はまだ得られていない。本研究の計画期間を過ぎてはいるが,2017年4月以降も同雑誌に現在の査読状況について問い合わせを行っている最中である。
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