2017 Fiscal Year Research-status Report

原価企画を通じた原価管理実践の形成と変化の過程に関する研究

Research Project

Project/Area Number	15K17173
Research Institution	Shujitsu University
Principal Investigator	鈴木新就実大学, 経営学部, 講師 (10637002)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords	原価企画 / フィードフォワード / 許容原価 / 管理技術 / VE / SQC
Outline of Annual Research Achievements	平成29年度の研究では、原価管理実践の形成と変化の過程を明らかにするために、歴史的史料の収集および分析フレームワークの構築に取り組むとともに、複数の国内学会で報告し、成果の一部を論文化した。分析フレームワークの構築については、研究計画に示した原価企画の「変化と不変を共存させるメカニズム」およびその成立過程の解明に向けて、これまでに行ってきた研究をさらに深く追及した。前年度までの成果に加えて、新たな観点としてサイバネティクスをとり入れ、財務管理的な要求から生じる行為の方向性と、物量管理的な要求から生じる行為の方向性とが、計画と統制の循環の中でいかに関わりながら、変化に対応しつつ一定の構造を維持するのかをいっそう明示的に研究可能にするフレームワークを構築することができた。また、歴史的史料の収集については、上述した研究の中で、原価企画のような日本企業の原価管理の形成にはVEのように貨幣数値に直接かかわるものだけではなく、とくにSQC（統計的品質管理）のように、原価管理と直接的にかかわりはないが結果的に原価管理を構成していると思われる様々な管理技術の重要性が示唆された。そこで、これを明らかにするべくSQCを中心として管理技術に関する歴史的史料を多数収集した。これによって本研究に関する史料の収集は一定の満足のいく水準に達した。この途中経過は、日本原価計算研究学会全国大会および日本社会関連会計学会全国大会において報告し、所属大学の紀要に論文を掲載した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 分析フレームワークは研究を進めながら新たな観点や修正を加えて十全なものに近づいたが、収集した資料の厳密な分析に時間を要しており、成果を出すためには早急に作業を進めなくてはならないため、本区分とした。
Strategy for Future Research Activity	平成30年度は、これまでに構築した分析フレームワークによって、収集した歴史的史料を分析し、研究成果を学会等で公表するとともに、和文・英文で論文化する。分析フレームワークについては上述したように改良を加えながら完成に近づいている。そのため本年度は史料分析に注力することで成果を出していきたい。方法は、同一の史料について、原価管理に関する一次資料としての分析と、その史料に書かれている物事の背後まで考察するテクストとしての分析を行なう。これによって、原価管理実践の「変化」と、その背後にある「不変」の構造を同時に捉える原価管理の形成過程の解明ができると考えている。
Causes of Carryover	（理由）　英語論文のための校正に使用していないこと、購入予定の情報機器への使用が当初予定よりも少なくなっていることが挙げられる。（使用計画）　本年度は最終年度であるため、研究を完成させるために予定していた支出をすべて行うので、全額を使用する予定である。主として英語論文に関する校正等に使用する予定である。