2015 Fiscal Year Research-status Report
ビジネス・エコシステムにおける相互作用がMCSに及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
15K17176
|
Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
吉川 晃史 熊本学園大学, その他の研究科, 准教授 (20612930)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ビジネス・エコシステム / 地域経済 / マネジメント・コントロール・システム / 規範的研究 / 経験的研究 / 金融機関 / 会計専門家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度にあたる平成27年度では,まず,ビジネス・エコシステムとMCSに焦点を当てた研究に関する文献調査を実施した。組織間管理会計の議論は,サプライチェーン上のすでにある垂直的なバイヤー・サプライヤー関係に焦点が当てられてきた(Chalos & O’Connor, 2004; Groot & Merchant, 2000)。他方で,アライアンス関係の構築,外注関係の構築といった領域も研究されている。ビジネス・エコシステムの相互作用によるMCSの変化の実態を解明する前段階として,ビジネス・エコシステムに関する議論のうち,とくに組織間のマネジメントに焦点を当てた研究を調査し,組織間の相互作用へ着目され始めていることについて理解した。 そして,エコシステム間の相互作用を対象としたインタビュー調査・参与観察を開始し,参加企業のMCSを把握し始めている。具体的には熊本県中小企業家同友会の協力を得て,複数社へのインタビューを実施した。中小企業家同友会では,経営理念,経営方針,経営計画を総称した経営指針の確立に向けた啓蒙活動に取り組んでいる。同会の取り組みを実行している中小企業のMCSの実体について理解を始めた。1月には,「経営管理システムの活用と中小企業の成長」というテーマで,代表者が委員をしている熊本学園大学付属産業経営研究所においてシンポジウム開催を提案するなど社会還元できた。 また,熊本県高森町の観光立町計画の策定に関与しながら,まちづくり組織の組織化についてデータ収集を開始した。 以上のような成果を踏まえて、次年度は主として収集したデータを理論的に考察して,成果について学会報告,論文としてアウトプットしていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献レビューの実施と研究課題の抽出について実施した。また,フィールドワークを実施してデータ収集を開始し始め,実践知の理解を進めており研究は概ね計画通りに進捗しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した文献調査やインタビュー調査,参与観察を基礎として,①文献研究,②インタビュー調査・参与観察を,1年目と同様に工程表に従い実施する。そして,2年目後半にはデータ分析を開始する。③研究成果については,2年目以降から,内外での学会報告,ワーキング・ペーパーの作成等を順次行っていく。 対象企業のMCSの変化について,経営理念,戦略,組織体制,管理会計制度,人事制度といった多面的な観点から調査する。企業再生や創業支援では,金融機関・会計専門家と企業の相互作用を通じて,どのように事業計画が策定され,事業計画の実行過程で,どのようにモニタリング活動が行われているのかについて理解する。そして,それらのプレイヤーがどのような役割を果たしているか,また企業内部のMCSにどのように影響を与えているのかを理解する。 ただし、熊本震災の影響により、調査の進捗が遅れる可能性はある。
|